海外に長く滞在するときに気になることの一つに、その国の食事情があると思います。
私は1年間、イギリス南東部の町、カンタベリーに留学していました。留学前は、イギリスといってもすぐに思い浮かぶ料理はなかなかないため、イギリスでの食生活がとても心配でした。
ここでは、私がイギリスで長期間滞在したときの経験から、イギリスの料理と食文化について紹介していきます。
※1ポンド=145.6円(2019年6月現在)
味がないハンバーガー!?
マクドナルドやバーガーキングなど世界的なチェーン店は別ですが、イギリスのハンバーガー店では味のないハンバーガーが出されます。
私もイギリス人と中国人の友達と旅行していたときに個人経営のお店でハンバーガーを買ったのですが、パンの間に肉と小さいキャベツが挟まっているだけで、ずいぶん薄味のハンバーガーだなあと思っていました。
イギリス人の友達から「おいしい?」と聞かれ、おいしくないとも言えないし困っていると、「あそこにケチャップがあるよ」と教えてくれました。どうやらイギリスでは、自分で調味料をかけることが主流なようで、ケチャップをかけたらとてもおいしくいただけました。
イギリス料理がまずい理由
「イギリスは食事がまずい」と言われることがよくありますが、これは調理の過程でほとんど味付けをしないという食文化が影響しているようです。
昔、調味料が貴重だった時代、お客様をもてなすときに「好きなだけ調味料をお使いください」という意味で、あえて味付けをせずに料理を出し、食卓の上に調味料を置いたのだとか。まだ、その名残が残っているそうです。
フィッシュ&チップス
イギリスの食べ物と言えばフィッシュ&チップスを思い浮かべる人も多いと思います。 白身の魚とフライドポテトのイギリス版ファストフードです。
いろいろなところで手軽に食べられるイギリス料理ですが、おいしいフィッシュ&チップスを目当てに、わざわざ海辺の町まで出かけて行く人もいます。
こちらも味付けは一切なく、酢やレモンを絞ってかけたり自分で卓上にある調味料で味付けをして食べます。別の料理に添えられているフライドポテトにも味は付いていませんでした。
アフタヌーンティー
イギリスと言えば、紅茶とアフタヌーンティーがよく知られていますね。イギリス人は紅茶が大好きで、English Breakfastという紅茶に砂糖と牛乳を加えて飲むのが最も一般的です。
そして、イギリスに来たなら是非一度はアフタヌーンティーを体験してほしいと思います。3段くらいのティースタンドにケーキやスコーン、サンドイッチなどがたくさん乗っていて、紅茶を飲みながらいただきます。とてもイギリスらしい優雅なひとときです。
手軽にイギリスのティータイムを満喫する方法
アフタヌーンティーはどこの喫茶店にも大抵ありますが、安くても20ポンド以上(3,000円くらい)と値が張るので注文する人も少なく、予約制になっているところがほとんどです。
気楽に食べられるのがクリームティーと言ってスコーン2~3個と紅茶のセットです(5~6ポンド、800円前後)。小腹が空いたときに手軽に食べられて、イギリスの紅茶文化を体験できるのでとてもおすすめです。
パスティ
私がイギリスで最も好きだったのが「パスティ」です。元々イギリス南西部コーンウォール地方の郷土料理で、シンプルなペストリー生地で牛肉や野菜などを包んだものです。どこの町を歩いていてもパスティ専門店があり、イギリスの国民的ファストフードです。
さまざまな味がありますが、最も有名なのがコーニッシュパスティで牛肉、ジャガイモ、タマネギがたっぷり詰まっています。私も時間を節約したいときなどよく食べていました。ボリュームがあるので、1つ食べただけでも満腹になります。
コテージパイ
留学中、夕食によく食べていたのがコテージパイです。シェパーズパイともいい、マッシュドポテトと牛肉(または羊肉)で作るイギリスのミートパイです。マッシュドポテトと牛肉の絡みが絶妙で、とてもおいしいです。
私の場合、外食でも食べましたが、テスコというスーパーで市販されている冷蔵のコテージパイを買ってきて、レンジで加熱して食べていました。安くて、ちょうどいいおかずになるので重宝しました。
まとめ
よく「まずい」と言われるイギリス料理ですが、パスティやコテージパイのようにおいしいものもたくさんあります。
「代表的なイギリス料理ってなに?」と聞くと「なにもない」と答えるイギリス人も時々います。でも、よく探してみると長い歴史の中で受け継がれてきたイギリス伝統の味に出会えるはずです。
例えば、English Breakfastと呼ばれるイギリスの伝統的な朝食は街を歩いていれば必ず見つけるほど有名です。ベーコン、ソーセージ、フライドポテト、卵、ビーンズ、パンなどが主な品目です。イギリス料理では一番バランスがよく整った料理かもしれません。
留学をした際には、ぜひ、その国の食文化にも目を向けてみてください。料理を通してその国のことをもっと深く知ることができ、現地の人との会話も弾みます。