築50年は築浅!?ロンドンの賃貸事情とは

ロンドン









ロンドンの住宅事情は日本とは大きく異なります。まず築年数が古いほど価値があるという考え方から始まり、貸主の立場のほうが上なので、契約時は自分がいかに借主としてふさわしいかアピールすることも大切になります。ロンドンは物価もさることながら、家賃が高いといわれています。

イギリスと日本の家とは勝手が違うことも多い中で、自分の希望と現実をすり合わせて、より快適な生活をするために、遭遇しやすい出来事を含め私が実際に住んでいた家の詳細と、ロンドンでよくある設備についてもお話しします。

ロンドンで住んでいた家の立地

人形

私の住んでいたアパートはpaddington駅から徒歩5分、他にも徒歩10分以内に2つの駅があり交通の便は申し分ありませんでした。paddington駅はクマのパディントンで知られています。実際に駅には銅像があり、小さな観光スポットにもなっています。

ターミナル駅の1つで、tubeは4路線、空港への特急などの長距離の列車も出ていて、日本の東京駅のような印象です。

立地に不満は無かったのですが、大きい道路に面していたのと、病院が近くにあったので救急車の音をはじめ、昼夜問わず外の音はよく聞こえてきました

間取りと価格

建物

※実際に住んでいた家の写真です

間取りはスタジオタイプと呼ばれるもので、日本で言う1Kに近い間取りです。カウンターキッチンは大きく、決めた時は手狭かなと思ったものの、収納も多く意外とゆったりと暮らせました。

築20年ほどで、家賃は月額1700ポンド(2014年当時のレートで約30万円)でした。これはそのエリアでは相場の価格です。少し郊外にいくと価格は下がりますが交通費も割高なので、私は総合的に考えてこの物件に決めました。

日本にはない設備

鍵

ポーター

日本で言うコンシェルジュのようなサービスをしてくれるスタッフです。メインエントランスに24時間常駐して、宅配便の受け取りを代理でしてくれたり、用件の取次ぎなど、幅広く相談に乗ってくれます。

住民の顔を覚えてエントランスのドアを開けてくれたり、セキュリティの面でも安心です。

ホットウォータータンク

1戸ごとにタンクが設置されていて、そこで水が温められて水道からお湯として供給されます。なのでタンクが空になるとお湯が使えなくなり、水になってしまいます

困ったのは、バスタブにお湯をためた時です。一度に使う湯量が多いため、湯船に浸かったあと、シャワーを浴びると途中で水になってしばらく待たないといけません。

日本では考えられないことですが、こちらでは湯船にお湯をためる習慣が無いので、タンクの量で足りるのが普通なようです。

セントラルヒーティング

冬場の屋内はセントラルヒーティングという設備が一般的です。部屋ごとの暖房ではなく、建物全体を暖める設備のことで、このおかげでじんわりと家が暖かく保たれます。外ではしっかり防寒着が必要な季節も、屋内ではTシャツで過ごしている人も多いです。

トラブル

道具

ロンドンの住宅トラブルで一番耳にするのが水漏れです。例に漏れず、我が家も水漏れが1年の間に3回ありました。

まずは物件を管理している不動産エージェントに連絡し、そこからプラマーとよばれる配管工事のスタッフを手配してもらいます。当日来てくれることは稀で大体数日待たされます。

カルチャーショックだったのは、家主が不在でも、ポーターに鍵を預けておけば、勝手に来て修理してくれることです。最初は知らない人が家に勝手に入るなんてと抵抗がありましたが、在宅していつ来るかソワソワするよりも、行動に制約が無いので、いいものだなと思うようになりました。

他にも、詰まりなど水周りのトラブルは、古い物件の多いロンドンではよく聞きました。

選ぶ時のポイント

打ち合わせ

築年数の感覚は日本とは違う

ロンドンの家賃は高騰していて、賃貸の場合、月収の2分の1を家賃に充てている人も多いです。日本での目安は3分の1と言われていますから、とても割高なことが分かります。

家探しの際には他にも10件ほど物件を見ました。驚いたのは、不動産エージェントが築50年は築浅だと言っていたことです。

ロンドンは古い建物が多く、戦前のものもあり、それぞれ外観はそのままに、改装を繰り返しながら多くの人が住んでいます。そして古い物件ほど価値があるという感覚もあります。

内装を確認してみると、意外とモダンだったり使い勝手よく改装されていたりするのですが、物件によっては水道管などをとても古いまま使っていたりするので、使用状況を確認することが大切です。

日系不動産エージェントを頼るのが近道

日本人が重視するところを熟知しているのが日系エージェントです。ロンドンの物件はバスタブが無いところも多く、また、靴を脱ぐ習慣が無いので、カーペットや床の綺麗さも気になるところです。ローカルの不動産会社に希望を伝えても、膨大な物件数から絞り込むのは至難の業でしょう。

日系だからといって特別割高ということもないので、効率よく探すにはとてもありがたい存在です。

まとめ

日本で賃貸物件を探すと、どこも築浅なことが多く、古い物件は家賃がどんどん安くなっていきます。

ロンドンで探し始めたときは築浅の物件の少なさに驚きました。ロンドンは景観を大切にするため、外に洗濯物が干せないのですが、そういった住民の努力も、街の雰囲気を守っているんだと知ることもできました。

不便な部分もありますが、古いものを大切にする文化は見習いたいですし、独特な設備を楽しむことで、さらにロンドンでの暮らしを味わえるのではないでしょうか。