タイのLGBT事情とは?タイで寛容に受け入れられる私の周りのLGBT

LGBT









LGBTという言葉の意味を知っていますか。Lはレズビアン(女性同性愛者)、Gはゲイ(男性同性愛者)、Bはバイセクシュアル(両性愛者)、Tはトランスジェンダー(性同一性障害など)を意味し、性的少数者を表す言葉です。

日本でも少しずつオープンになって来ていますが、まだまだ差別も多くLGBTに関する法律も整っていません。

タイは人口に対してLGBTの割合が高く、社会的にも受け入れられています。そのため自分がLGBTだという事実を隠すことなく堂々と生活しています。LGBTじゃない人たちもLGBTを特別視することはなく普通に受け入れています。

今回は私の周りにいるタイのLGBTの人たちについて書いてみたいと思います。

差別を受けないLGBT

レインボーマップ

タイにいると女装している男性(オネエ)や男装している女性(オナベ)はどこにでもいます。コンビニの店員、学校の先生、銀行員、医者など様々な職種で活躍しています。

一般的な男女とまったく差別されていないというと嘘になるかもしれませんが、他の国と比べるとタイはLGBTがとても暮らしやすい国です。

私が働いていた学校でも先生や生徒の中にLGBTがたくさんいました。1クラス45人としてLGBTは5人以上は必ずいます。

意外に多いのはレズビアンです。あまり目立たないので気づきにくいかもしれませんが、私が実際インタビューしたところ、女の子はレスビアンかバイセクシャルの可能性が高いです。

でもみんなとても和気あいあいとしていて、LGBTだからといってイジメにあうことは絶対にありません。タイ人にとってLGBTは個性の一つにすぎないのです。

LGBTが寛容に受け入れられる理由

タイにおいてLGBTの人たちが寛容に受け入れられる理由はタイの「宗教」と「国民性」にあります。

タイは仏教国(小乗仏教)です。タイの仏教において「人の体は現世における借り物」という考えがあり、女性の心を持った男性、男性の心を持った女性、ともに器である「体」と「心」が一致しなくても、そういうこともあり得ると捉えられているのです。

大切なのは「体」ではなく「心」だということです。

タイ人はとてもフレンドリーで物事に対してとても寛容的です。タイにいると1日に何度も「マイペンライ(大丈夫。問題ない。)」という言葉を耳にします。この言葉はタイ人の国民性をすべて物語っています。

ほとんどのことは「マイペンライ」で済ませることができます。自分にも、他人に対してもとても寛容的です。そのため多様な性に関しても「マイペンライ」なのでしょう。

オネエは突然に

LGBTの中には小さい時から自覚している人もいれば、ある程度大きくなってから気づく人もいます。

ある日ショッピングモールの中を歩いていると「せんせーい!」という声が聞こえてきました。振り返ると耳に大きなピアスをして、きれいにお化粧をした男性が立っていました。

聞き覚えのある声、見覚えのある顔、でもいつどこで教えた子だったかすぐに思い出せません。彼の話し方や仕草を見ているうちにじわじわと記憶が蘇ってきました。

そうだ!彼が高校生のころ日本語を教えていたことを思い出しました。その頃の彼はがたいのいい、空手少年でした。確か長く付き合っていた彼女もいたはずです。

質問したいことはたくさんありましたが、あまり踏み込んだことは聞けずありきたりなあいさつで終わってしまいました。彼女はどうなったんだろう、いつ目覚めたんだろうという疑問だけが残りました。

旦那に彼氏がいた

マーク

日本人の女友達と彼女のタイ人の旦那さんと3人で一緒にお出かけしました。旦那さんの運転で後部座席に友人と私が座りました。途中で旦那さんの友だちという人が参加して助手席に座りました

友人が私に「あの2人仲いいと思わない?」と聞きます。「そりゃあ、友達同士だから仲いいんじゃない?」と答えると「すっごく仲いいと思わない?」と友人が聞き返します。「どういう意味?」と私が聞くと友人がいろいろ話してくれました。

彼女によると、旦那さんとその友達はデキているということでした。旦那さんはその友達と毎晩2時間くらい電話で話し、電話中は奥さんに聞かれないように外で話しているそうです。外泊も増えてきたと言います。

でもそれだけで旦那さんがゲイという証拠にはならないので他に裏付けるものはあるのかと尋ねました。すると旦那さんが結婚する前に付き合っていた人は男の人だったというのです。家の中でもスカートをはいて鏡の前に立つのが好きなんだそうです。彼女はそれを知ってて結婚したのです。

だから友人の旦那さんに対する疑いは限りなく黒だと思います。彼女はその後も結婚生活を続けています。その問題をどう解決したのかは夫婦のみぞ知るです。

妻に彼女がいた

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私が働いている語学学校では授業と授業の合間に15分ほどコーヒーブレークがあります。いつも通りコーヒーを飲んでいると同僚のイギリス人の先生が話しかけてきました。

彼は唐突に「うちの奥さんに彼女ができたんだ。」と打ち明けてきました。私は一瞬どう反応したらいいかわかりませんでした。まずこんな重い話を15分のブレークタイムに話していいのだろうかと思いつつ、彼の話を聞きました。

彼によると、奥さんはバイセクシャルだそうで、その事実は事前に知っていたそうです。彼女が特定の女の友だちとよく遊ぶようになって、外泊も頻繁にするようになったことから彼が問い詰めたそうです。

奥さん曰く、旦那さんのこともその友達のことも愛していてどうしたらわからないそうです。そしていろいろ話し合った結果、なんと彼と奥さんとその彼女が一緒に住むことになったのです。

私としては本人同士が良ければ別に構わないと思いますが、それにしてもそういう結論に辿り着くとは想像もしませんでした。

しかしその後やっぱりうまくいかず、彼が家を出ました。そしてしばらくすると奥さんとその友達が別れ、また夫婦で暮らすようになったのです。夫婦の関係って本当に不思議ですね。

もしも自分の子どもがLGBTだったら

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私は授業で生徒たちに「もし将来結婚して、自分の子どもがLGBTだったらどうしますか。」という題でディスカッションしてもらったことがあります。「まったく気にならない」「できる限り普通であることを望むが、LGBTでも問題なく受け入れる。」という意見が100%でした。

誰も否定的な意見をした人がいませんでした。「人間であることには変わりないし、自分の愛する子どもだということに間違いはない。」からだそうです。

確かに子どもがLGBTだからといって隠す親を見たことがありません。ある人は私に自慢げに息子さんの写真を見せてくれました。その写真にはきれいに着飾ってショーで踊っている息子さんが写っていました。

親が自分の子に対して堂々としていることで、子どもも自分に自信を持つようになるのでしょう。

まとめ

タイではLGBTの人たちと共存することは当たり前で、誰も特別なこととは思っていません。街中で男装したり女装したりする人がいても、騒ぐ人も誰もいません。

そしてLGBTに限らず外国人に対してもとても寛容的です。どんな人でも受け入れてくれるところがタイの最大の魅力だと思っています。

もし日本でLGBTが理由で悩んでいる人がいたら、是非タイに来てほしいです。きっと世界が変わるし、自分にポジティブになれると思います。今後日本もタイのようにLGBTの人たちが自信を持って暮らしていける社会になるといいなと思います。