ドイツの税金は何パーセント?ドイツ暮らしで知りたい税金事情とは

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私は、ワーキングホリデービザでドイツへ入国し、ベルリンやデュッセルドルフなど、いくつかの都市で生活した経験があります。

入国したその日に、スーパーへ買い出しに行きました。その際、ドイツへ入国して最初に興味が湧いたことがあります。それは、消費税などの税金事情についてです。

生きていく上で欠かすことのできない食事や洗濯と同じように、税金は働いていても働いていなくても必ず納めなければなりません。

ドイツの税率は、日本より高いのか、低いのか?その税金は、何に使われているのか?私がドイツ人に聞いたり体験して知った内容をご紹介します。

ドイツの消費税率は何%?

2種類の消費税率

スーパーマーケット

まず、ドイツの消費税率は「標準税率」と「軽減税率」の2種類で構成されています。この2つのうち、「標準税率」が、一般的に消費税として意識されている税率となります。これは、日本の消費税で表すところの8%にあたります。2018年12月現在、ドイツの標準税率は19%です。

そして、日本ではまだ導入されていない「軽減税率」という税率も、ドイツには存在します。日本でも、近頃この言葉を耳にすることが多くなりましたね。

日本の場合、将来、消費税率が10%になるにあたって、低所得者対策として、ー部生活必需品などの対象品目は消費税率を8%のままに据え置く、といった対策になります。

つまり、軽減税率を簡単に説明すると、生活必需品などに該当する物品購入に対して、課される税率が標準税率よりも低くなる税率のことです。

しかし、この生活必需品などを取り扱っているスーパーなどでは内税での値段が表記されているので、普段生活をしていてあまり気になることはありません。

軽減税率の対象品は?

野菜 ミルク

まず、原則として食料品・書籍は軽減税率に該当します。しかし、食料品の中でも飲料物は少し規定が異なってきます。

ややこしいのですが、飲料水や豆乳の消費税は19%(標準税率)なのに対して、牛乳やコーヒーの消費税率は7%(軽減税率)となります。同じ乳製品飲料である豆乳と牛乳なのに、消費税率がなぜ異なっているのか不思議です……。

食品や書籍のほかに軽減税率に該当する品目としては、新聞や雑誌・旅客輸送・宿泊施設の利用があります。

そして、注意しなければならないことがもうひとつ。それはファーストフード店などでの食事形態です。つまり、マクドナルドを買って店内で食べるかテイクアウトするかで、適用される税率が異なってきてしまうのです。

テイクアウトだと「食料品」扱いで軽減税率7%の対象ですが、店内で食べると「外食」扱いとなり、標準税率19%の対象となってしまいます。ご注意ください。

支払わなくて良い税金がある?!

デザイン 書類

支払免除対象者

その対象となっている税金は、「連帯付加税(Solidaritätszuschlag)」です。対象者はドイツの首都・ベルリン、そしてベルリンの中でも東ベルリンに住民票のある人のみが支払免除対象となっています。

そのため、例え留学生であっても東ベルリンで住民票を登録をすれば支払免除対象となります。要するにこの「連帯付加税」を納めなければないらないのは、ドイツに住民票を有していて、かつその住民票が東ベルリン以外に属している全員ということになります。

これは、旧東ドイツ地域の復興を目的としている税金になり、個人所得の5.5%が課せられます。

撤廃の予定があるけれど……

ドイツは、第2次世界大戦後をきっかけに東西2つの国に分かれていました。ベルリン全体は、当時の東ドイツ領の中にありましたが、ベルリンの中もさらに東西に分かれていました。つまり、西ベルリンは周囲を東ドイツの領土に囲まれていたわけですね。

この税は2019年までの適用のようですが、本当に撤廃されるのかはまだ定かではありません。納税し続けている旧西市民には負担となりますが、旧東市民には貴重な財政源となっているのも事実です。

非課税対象のもの

コイン

ヨーロッパ在住者の身近な生活に関わる代表的なものとして、チップは非課税となります。その他には、土地・住宅・マンションの購入といった不動産取引、家賃の支払いである不動産賃貸、保険料、医療費、教育関連経費、切手代や郵送などの通信費は、非課税対象となっています。

また、注意しておかなければならないのは、学生や留学生だからといって納税義務が免除されることはない、という点です。

税金の支払いについては、会社員、学生、ワーキングホリデーなどの留学生に関係なく、ドイツで就労する際には必ず税金の支払い義務が発生します。勤務時間によって納税額は異なりますが、留学生のアルバイトであっても、学生だとしても、税金が免除されるわけではありません。

税金の使い道は一体なに?

ドイツ

連帯付加税の使い道は1つ、旧東ドイツの復興ですが、その他19%もの消費税などは、一体ドイツ国内の何に貢献しているのでしょうか?

主な消費税の使い道としては、第2次世界大戦後の賠償金の返済やインフレの整備とのこと。しかし、ドイツは2015年に新規国債の発行を停止し、非常に健全な財務体質を構築していると知りました。では、返済以外に一体何に使われているのでしょうか?

私がドイツで暮らして発見したことでいうと、ドイツは共働き家庭が多く、女性が働きやすい職場環境や保育制度といった国内福利がとても充実しているということです。

そして、大学の授業料がほぼ無料という点や、マンションはWGと言われるシェアハウスが一般的で、家賃は日本円換算で3~4万円に収まります。食事も、外食は高いですが自炊すれば安く抑えられ、贅沢しなければ衣食住は月5万円以内と、とても安く抑えることができます。

こういった生活環境づくりにも、高額な税金が多少なりとも貢献しているのでは、と感じました。

ドイツの税金について思うこと

公園

私は当初、ドイツの消費税率や連帯付加税はとても高いように思いましたが、実はヨーロッパの中ではまだまだ低い方に入ることを知りました。例えば、ドイツと隣接しているノルウェー、デンマークの消費税率は25%に達しています。

しかし、ただ税率が高く国民の生活を圧迫しているのではなく、ドイツで生活をしていると、こういった税金は労働環境や環境資源として、私たちの生活にきちんと還元されていることを身にしみて知ることができていました。

そして、「外食費は高く、自炊は安く済み、家計に優しい」。この考え方も、ただ「自炊は金銭面でお得だよ」ということを言いたいのではなく、実際は「食事は家族で家で食べることが1番」という意味が込められているのでは?とも感じました。

もしそうだとすれば、税率の高さは決して苦ばかりではないと思えます。