もし中国に長期的に住む場合、または日中間でビジネスを始めたいとなった時などには、中国現地の銀行口座を開設する必要があります。
中国には日本のように複数の銀行が存在します。日本人が初めて中国で銀行口座を開設する場合「手続きには何が必要か?」、「どの銀行で口座開設するのが便利?」、「日本円を人民元に変える場合、レートはいくらくらい?」などなど、疑問がたくさんあるかと思います。
そこで今回は、初めて中国現地の銀行で口座を開設したい日本の方のために、その方法と注意するべきポイントをご紹介します。
中国にある代表的な銀行
中国には日本のように複数の銀行があります。以下に各分類に基づく代表的な中国国内の銀行をまとめました。
第1類:国有商業銀行
- 中国工商银行(ジョンゴーゴンシャンインハン)
- 中国建设银行(ジョンゴージエンシャインハン)
- 中国银行(ジョンゴーインハン)
- 中国农业银行(ジョンゴーノンイエインハン)
第3類:株式商業銀行
- 交通銀行(ジャオトンインハン)
- 中信实业银行(ジョンシンシーイエインハン)
- 中国光大银行(ジョンゴーグァンダーインハン)
- 华夏银行(ファーシャーインハン)
- 深圳发展银行(シェンジェンファージャンインハン)
- 广东发展银行(グァンドンファージャンインハン)
- 招商银行(ジャオシャンインハン)
- 上海浦东发展银行(シャンハイプードンファージャンインハン)
- 中国民生银行(ジョンゴーミンシェンインハン)
- 福建兴业银行(フージエンシンイエインハン)
- 恒丰银行(ヘンフォンインハン)
上記の銀行以外にも郵便局の銀行、「中国邮政储蓄银行(ジョンゴーヨウジェンチューシュインハン)」や香港系の「汇丰银行(ホイフォンインハン:HSBC)」に加え、各地方銀行など数多くの銀行が存在します。
それぞれ店舗数や行なっているサービス、金利、手続きなどが少しずつ異なっていますので、自分の状況に合わせて、使いやすい銀行で口座開設しましょう。
日本人在住者におすすめの銀行とその理由
中国の銀行の中で特におすすめなのが、前述した国有商業銀行の4行(中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行)です。
この4行が店舗数やATMも多く、サービスも安定しており、面積の広い中国全土に広がっているので、中国で初めて口座を開設するなら、この4行から選んだ方が無難かと思います。特に日本円など外貨を扱う予定がある方は中国銀行を選びましょう。
中国銀行は通常の銀行業務に加えて、特に専門的な外貨取り扱い業務を行なっています。専門知識、現金での外貨保持量などが他行より優れているうえ、日本国内にも支店があります。
中国銀行以外の銀行でも外貨の取り扱いが可能な銀行もありますが、手続きに手間取ったり、予約が必要だったりします。私は以前に建設銀行で日本円から人民元への両替をお願いしたところ、「中国銀行に行ってください」と言われました。
口座開設に必要な書類や所要時間・難易度
実際に銀行に口座開設に赴く前に必要となるものを準備しましょう。必要となるものはパスポート、居住住所(ホテルではない長期の滞在先がベスト)、中国国内の電話番号(SMSの受信や、身分確認に利用するため)の三点です。
私が自身の口座を開設したときには、実際の手続きにかかった所要時間は15分ほどでしたが、その手続きが始まる前に口座開設申請書を記入し、受付番号を機械から取って順番待ちをする必要があります。その銀行の混雑具合によっては、かなり待つ場合もあります。
中国の多くの銀行はお昼時間になると行員の数が減りますので、順番がなかなか回ってきません。また私の経験からいうと中国銀行は他行に比べて手続きに時間がかかります。
口座開設申請書の記入や、窓口でのコミュニケーションには中国語が必要となります。英語はあまり通じず、銀行関連の専門用語が会話に出てきますので、通訳ができる人と一緒に行った方がスムーズで誤解も少ないかと思います。
申請書の記入から順番待ちまで
いざ口座開設したい銀行が決まったら、いよいよ銀行に行って口座を開設してみましょう。
一般的に銀行の入り口には係りの人がいて、「何の御用でしょうか?」と聞いてくれます。中国語では「你想办什么?(ニーシャンバンシェマ)」と言います。新規で口座を開設したい場合、「我想开户(ウォーシャンカイフ)」と言います。
その後まず口座開設申請書に記入し、入り口付近の機械で発行する順番待ちの番号札を持って、窓口上部の電光掲示板に自分の番号が掲示されるまで待ちます。
多くの銀行では複数の窓口が横並びになっており、どこの窓口で呼ばれるかは分かりませんので、番号が近づいたら注意してください。見逃すともう一度順番待ちになったり、窓口で次の順番の人と鉢合わせになったりします。
自分の番になったら番号札と必要書類を持って窓口に行き、口座開設したい旨を伝えます。
窓口でのやりとり
窓口は強盗防止のため行員と顧客の間が仕切られています。その間のテーブルには書類をやり取りできる四角い穴が開いており、パスポートや書類はここに入れて行員に渡します。
中国ではあまり通帳というものが使われておらず、カードとインターネットバンキング、SMSでの出入金お知らせがメインとなります。私が一番最初に中国銀行で口座を開設したときは、通帳とカードが作れましたが、その後カードだけしか作れなくなりました。
口座開設時にインターネットバンキングを使用したい、SMSで入出金明細を受け取りたい、電子決済を利用したいなど、要望を伝えましょう。サービスによっては申請しないと使用がはじめられないものがあります。
SMSでのお知らせサービスは、毎月数元の手数料がかかりますが、何か金銭の移動があった場合に、リアルタイムでお知らせが来るので非常に便利です。
注意点
銀行口座の開設の際に、口座の名義人としての自分の名前が、何語でどのように登録されたかチェックしましょう。
自分の口座宛に振り込みしてもらうときや、決済アプリに銀行カードを登録するときには、銀行名、口座番号などに加えて口座名義が必要になりますが、そのときに名前の表記が一致しないと手続きできません。
もう一点、口座開設時に登録したパスポートの有効期限が切れ、新しいパスポートに更新するときには、必ず古いパスポートを返却してもらいましょう。
日本人はパスポートを口座開設時の身分証として使用するのですが、新しいパスポートになった後に、パスポート番号が変わってしまうため、その後の銀行での本人確認に支障をきたすことがあります。
パスポート更新後は古いパスポートと新しいパスポートを持って銀行に行き、登録してある番号を変更してもらう必要があります。
まとめ
中国現地で銀行口座を作ると、WechatやAlipayといった電子決済アプリとリンクさせることによって、キャッシュレス生活を始めることができます。この手続きにもSMSで一時的なパスワードを受け取る必要がありますので、口座開設時に記入する電話番号は非常に重要です。
日本では一般的な印鑑の登録が、中国では個人の口座開設時には必要ありません。会社名義で口座開設するときには必要となります。
最後に、日本では暗証番号が4桁なのに対して、中国では6桁が一般的です。最初の口座開設時に設定しますので、忘れないようにしましょう。