日本では、もう旧暦を使う人はめったにいないと思いますが、韓国では今でも旧暦が生活の中で生きており、年の二大行事、お正月とお盆は旧暦に従って行います。日本風に言うならば、旧正月、旧盆ですね。
またこの時期には、日本のお歳暮(설날 선물=ソルラル ソンムル)、お中元(추석 선물=チュソク ソンムル)のようにお世話になった方に贈り物をします。
ところ変わればギフトも変わる!今日は韓国ならではのギフトセットをご紹介します。ぜひ、お世話になった方へのギフト選びの参考にしてください。
クルビ(海風で乾燥させたイシモチ)のセット
クルビは、イシモチの干物です。海沿いの町でイシモチを収穫してすぐに、縄で10匹連なるように縛り、塩を振って海風に数日さらします。冷蔵・運搬技術のなかった昔から伝わる保存方法ですが、このようにするとイシモチはさらに身が引き締まりうまみが増します。
日本でいう鮭やサバのように、韓国ではイシモチが普段から食卓にのぼるお魚ですが、お中元・お歳暮にこのイシモチの干物を贈答品として贈ります。
旧盆と旧正月には、多くの家で先祖にお供え物をささげ、敬い感謝する祭祀を行いますが、この時に必ず祭壇の上に乗るのがこのイシモチです。お中元・お歳暮にイシモチを贈るのも、そのためではないでしょうか。
価格はサイズによって違いますが、安くても1万円以上、高いものでは何万円もするものもあります。
高麗人参のセット
韓国原産の高価な漢方材料と言えば高麗人参ですが、高麗人参は現地韓国でも高級品に属します。体にもとてもよく高価なので、ギフトとして重宝されます。
上の写真の右に写っているのが高麗人参のセットです。栽培されたものでも高級品で、健康食品の中では効能・価格ともにトップクラスに入ります。左に写っているのはツルニンジンのセットです。こちらも高麗人参ほどではありませんが高級品です。
健康食品のセット
高麗人参などの漢方を、飲みやすくエキスや顆粒にして一回分ずつ個別包装したものも、年長者に喜ばれるギフトです。
韓国は日本より漢方が身近で、病院の数と同じくらい漢方の医院があるほどです。また、健康を考えてサプリを飲む人も増えており、ビタミンやオメガ3などのサプリのギフトセットも人気です。
上の写真は、伝統的な漢方材料である鹿の角を乾かして、それをエキスにしたものです。滋養強壮、疲労回復など、漢方の中でも群を抜く効能を持っています。
値段が高麗人参よりは少し低めで、高麗人参と同様に認知度が高いので、年長者や健康に気を遣う方へのギフトにおすすめです。
乾物セット
こちらはスケトウダラの干物で、ファンテといいます。旧盆・旧正月のご先祖様のお供え物に祭壇に上がるものの1つです。
普段からもスープを作る時の食材として重宝するので、こういうものもギフトになるんですね。魚の干物が贈答品になるというのは、日本人にはとても新鮮に感じられます。
このように上質の煮干しや乾燥エビもギフトセットとして販売しています。日本人にはなじみのないギフトですが、比較的値段は高めの部類に入ります。下の写真の、煮干しと干しエビのセットなどは8,000円近くします。
干し柿のセット
干し柿も旧盆・旧正月のご先祖様へのお供えに必ず祭壇に上がるものの1つです。そのためかこのように干し柿ばかりのギフトセットも販売されます。形・色つやとも美しく、価格も5,000円前後と高めです。
特に干し柿の産地で有名なサンジュ産のものには定評があるので、干し柿の好きな方には喜ばれると思います。
果物セット
旧盆・旧正月の時には家族親戚が一堂に会して、ご先祖様にお供え物をし、感謝をささげ、家の安泰を願いますが、その際のお供え物に欠かせないものの1つが、梨とリンゴです。そのため、毎年必ず店頭に並ぶのが、写真のような梨とリンゴの詰め合わせセットです。
営業マンの夫が取引先へのギフトに毎年選ぶのもこのような梨とリンゴの詰め合わせです。
梨だけ、リンゴだけのセットもあります。農産物なので価格はその年々で変わりますが、3,000円台から6,000円台くらいのものが主流です。韓国の梨は大きくて水分も甘みも多く、とってもおいしいです。
上の写真の梨のギフトはうちで頂いたものです。毎年必ず、梨とリンゴ、あるいは梨だけ、リンゴだけのギフトが届くので、祭祀のための買い出しは届くギフトを確認してから行います。
祭祀の時期には梨もリンゴも値段が上がるので、このように贈り物として頂くと経済的にもとても助かります。
梨とリンゴのほかにも、ドラゴンフルーツやキウイ、アボカド、みかんの詰め合わせなどといった、ちょっと変わった果物ギフトもあります。
ブドウエキス
韓国ではブドウ、玉ねぎ、ザクロや鶏の足などをエキス化した健康食品をよく売っています。上の写真はブドウのエキスのセットです。
ブドウエキスとはブドウの実だけでなく、皮や種まですべてをミキサーにかけたもので、このようにすれば、ブドウの栄養をすべて摂ることができます。
親しい間柄では格式ばったギフトよりもこのようなものを好まれることもあります。主に、訪問する際の手土産として選ばれます。
はちみつ
健康志向の方向けのギフトとして、ナッツの詰め合わせや、このようなはちみつのギフトセットなどもあります。定番のギフトというよりは、ちょっと個性的なギフトに入ります。
下の写真は気品あるツボの中にはちみつが入っています。箱もツボも韓国らしい高級感あふれるデザインで、もらった方も喜ばれるでしょう。いつも手に入るものではありませんが、外国へのお土産にもよさそうです。
韓国伝統菓子
日本の和菓子に相当する韓国伝統のお菓子です。色とりどりの美しい色彩です。これもご先祖様のお供え物として欠かせないものなので、毎年ギフトセットとして販売されます。
ほんのり甘い味がするお菓子で、お年寄りなど、この伝統菓子が好きな方もいらっしゃるとは思いますが、チョコレートやポテトチップスのような現代のお菓子に比べるとやはり味は劣るので、誰にでも喜ばれるものではないと思います。
値段は比較的高めで、この写真のものは5,500円くらいです。
食品セット
こちらは缶詰のハムや油、調味料などの食品詰め合わせセットです。このように種類が多いほど値段も高くなります。この写真の商品は5,000円ほどでした。
いろんなものが入っていて見た目もよく、普段の生活に役立ち、しかも長期保存ができるものなので、贈り物に重宝されます。
食品ギフトセットには、このようにスパムと油とサーモン缶だけのシンプルなものもあります。もっと簡素なものでは、キャノーラ油など食用油だけの詰め合わせ、ツナ缶だけの詰め合わせなど、お財布事情に合わせて様々な価格帯でギフトセットが準備されています。
こちらはツナ缶の詰め合わせです。これでも3,000円くらいします。
私は正直、「ツナ缶が贈り物になるのか!」と驚きました。ツナ缶が大好きでよく食べる方へのギフトにはいいかもしれませんが、同じ値段でもう少し種類豊富なギフトもあるので、贈り物としては見た目に晴れやかなほうがいいかと思います。
食品のギフトセットは韓国では定番で、種類が豊富なぶん価格帯も幅広く、販売スペースもほかのギフトに比べ少し広めです。
セット内容は毎年特に大きく変わることはありません。誰にあげても喜ばれる、無難なギフトといえるでしょう。今回我が家に送られてきたギフトも、8つのうち4つがこのような食品ギフトでした。
日本と違うなあと思ったのは、ビールの詰め合わせギフトがないことです。果実酒やワインなど、ちょっと変わったお酒はギフトとして販売していますが、日本で定番のビールの詰め合わせはありません。
ボディ・ヘア用品セット
シャンプー、石鹸、歯磨き粉など、身の回りのケア用品のセットもギフトになります。内容物の種類や数によって値段が変わり、1,000円しないものから5,000円近くするものまで様々です。
ボディ・ヘア用品は老若男女問わず好まれるためか、販売コーナーもほかのギフトに比べて少し広く、10種類以上の商品が陳列されます。また日本と違って、洗濯洗剤のギフトセットなどはありません。
どの商品も下のような専用の手提げ袋と一緒に販売されていて、持ち運びやすくなっています。宅配で送る場合もこの手提げ袋に入れてテープでぐるぐる巻いてこのまま発送します。
また、下の写真のように風呂敷に包んで持っていく場合もあります。風呂敷のことを、ハングルでは보자기(ポジャギ)といいます。赤や黄色、青、金色など色彩が華やかで美しく、すべて光沢を帯びています。こんなきれいなポジャギでギフトが送られてくるだけでも、わくわくしませんか?
宅配便発送の場合もポジャギのまま送付状を貼って発送します。
宅配で送る場合、お中元・お歳暮の時期には「宅配大乱」とニュースに毎年出てくるほど宅配便が混雑するので、余裕をもって早めに送ることをおすすめします。その際運送状番号を必ず控えておいて、後から宅配便照会ができるように備えておくことも忘れないでください。
まとめ
韓国にも日本と同じようにお中元・お歳暮の文化があり、人々は贈り物を通して普段の感謝の気持ちを相手に届けます。
今回お見せしたのは韓国の代表的なギフトセットです。これをご覧になって、日本との違いを興味深く、また面白く思っていただけたら幸いです。
また、韓国でお仕事されている方や、これからお仕事される方には、お中元・お歳暮を選ぶときの参考にしていただけるでしょう。贈り物選びは難しいですが、異国の地での贈り物はさらに頭を悩ませますよね。そんな時この記事がきっとあなたのお役に立てると思います。