ワイン愛好家必見!ロマネ・コンティを生んだブルゴーニュワインの特徴と歴史

葡萄畑









世界的に有名なワインの名産地ブルゴーニュ。世界一高価なワイン、ロマネ・コンティをはじめシャンベルタンなどワインに詳しい方ではなくとも一度はその名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。

ひとつのぶどう畑をひとつの生産者が所有するもうひとつのワイン名産地であるボルドーと比べ、ひとつのぶどう畑が複数の生産者によって細かく区画分けされているブルゴーニュワインはどんなところに特徴があるのでしょうか。

今回はブルゴーニュワインの主な歴史や特徴を紹介したいと思います。

ブルゴーニュワインの歴史

畑

修道士により発展

ブルゴーニュワインの歴史は古く、ローマ人がこの地域を侵略した頃から生産が始まったと言われています。

その後6世紀までは各所の修道院で質の高いワインが作られていました。11世紀にはワインの質が土地によって異なることに気づいた修道士たちが、生産地を「クリマ(Climat)」と呼ばれる区画に分けていきました。

そして特に質の高い畑を石垣で隔て、「クロ(clos)」と名付けて区別していきました。

貴族のステイタスとしての畑所有

15世紀にブルゴーニュ公国がフランス王国との戦いに敗れ併合されると、フランス宮廷の間でブルゴーニュワインが流行するようになります。

そして当時勢力を失いつつあった修道士たちに代わり、フランスの貴族たちはこぞってブルゴーニュのぶどう畑を所有するようになったのです。有名な例では、このときコンティ公がロマネの畑を所有したことにより「ロマネ・コンティ」という畑が誕生しました。

フランス革命による畑の市民開放・細分化

修道士や貴族によって所有されていたブルゴーニュの畑はフランス革命によって一時国有化され、その後売却されることになりました。ボルドーと比べて資金力のある買い手が少なかったため、この過程で畑は細分化されることになります。

現在でもブルゴーニュでは一つの畑を一つの生産者が所有するということは少なく、ほとんどの畑は細かく分けられ複数の生産者によって管理されています。

ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ

畑

世界遺産に登録

「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ」は、ブルゴーニュワインの主産地に形成されたブドウ栽培地の文化的景観を対象として世界遺産に登録されています。

この「クリマ」には、1,247箇所のぶどう栽培地だけでなくボーヌ市街やディジョン歴史地区も含まれています。

クリマとは

「クリマ(Climat)」とは先ほどブルゴーニュワインの歴史であったように、元は修道士たちが名付けた、ぶどう畑の小さな栽培区画のことをさします。

現在フランス語で「クリマ」は一般的に気候や風土をさす言葉として使われますが、古代ローマ時代は一定の面積の土地の単位として使われていました。

ブルゴーニュ地方ではその意味合いから発生した小区画の意味で用いられており、区画ごとの特徴(日当たり、土壌など)が異なると収穫できるワインの質も異なるとされています。

グラン・クリュ

ぶどう栽培区画の中で最も格の高いものはグラン・クリュ(特級畑)と呼ばれ、最高級のワインを産出する畑として格付けされています。

ブルゴーニュワイン生産地

道路

ブルゴーニュワインの生産地は玄関口ディジョンからソーヌ川の下流、ボーヌを経てリヨンに到るまでの地域に広がっています。この地域は「ブルゴーニュ ワイン街道」と呼ばれることもあります。

生産地は大きく分けて次の6つの地区からなり、赤・白ともに世界的に有名なワインを産出しています。

  • コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)
  • コート・ド・ボーヌ(Côte de Beaune)
  • コート・シャロネーズ(Côte Chalonnaise)
  • マコネー(Mâconnais)
  • ボジョレー(Beaujolais)
  • シャブリ(Chablis)

ブルゴーニュワイン観光の拠点・ディジョン

建物

ブルゴーニュワイン観光の拠点

ブルゴーニュワイン生産地の北端に位置する、コート=ドール県の県庁所在地がディジョンです。パリから鉄道で1時間半、ブルゴーニュワイン観光の拠点になる街です。

公共交通機関を使ってワイン畑をまわることは難しいため、個人で行く場合はここでレンタカーを借りると良いでしょう。

美食の街

世界遺産に指定されている歴史地区などの街並みや大聖堂などの見どころの他、マスタードやエスカルゴをはじめとする美食の街としても知られています。

マスタードの老舗として有名なマイユでは、注文ごとにビールサーバーのようにポンプからフレッシュマスタードを注いでくれます。カシス入りのピンク色のマスタードやシャブリ入りのものなど、個性的なマスタードはディジョンのお土産に最適です。

基本情報

  • 名称:マイユ(Maille)
  • 住所:32 Rue de la Liberté, 21000 Dijon
  • アクセス:ディジョン鉄道駅からトラムT1でダルシー(Darcy)駅下車徒歩5分
  • 営業時間:月曜~土曜日:10:00~19:00
  • 電話番号: (+33) 3 80 30 41 02
  • 公式サイト:https://fr.maille.com/

ロマネ・コンティを生んだ・コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)

コート・ド・ニュイは、ディジョン市の南に接するマルサネからニュイ・サン・ジョルジュまでの地域で、ロマネ・コンティやシャンベルタンなど偉大な赤ワインの産地です。

ロマネ・コンティ

ロマネ・コンティ

ヴォーヌ・ロマネ村にある、わずか1.8ヘクタールのピノ・ノワール種のぶどう畑。平均生産は約6,000本程度、世界一高値で取引されるワインです。

緩やかな斜面にあるロマネ・コンティのぶどう畑の向かい側が空き地になっていたのでもったいない!と思ったのですが、これこそ「クリマ」の違い、たとえすぐ近くにある畑でも土壌や日当たりが違うので同じようなワインを作ることはできないのでしょう。

ジュヴレ・シャンベルタン

ジュヴレ・シャンベルタン

ロマネ・コンティと並び称される銘醸地ジュヴレ・シャンベルタンは、ブルゴーニュ地方でもっとも多い9つのグラン・クリュを持っています。これらのグラン・クリュは隣接したエリアにありながら、味わいが大きく異なります。

ジュヴレ・シャンベルタンの畑は、グラン・クリュを擁する村の中で一番北、隆起した土地にあるため冷涼で日照時間が長いことが特徴。果皮が厚く色の濃い男性的な味わいのワインです。

上質な辛口白ワインの産地・コート・ド・ボーヌ(Côte de Beaune)

畑

ボーヌを中心とする丘陵地で、グラン・クリュはコート・ド・ニュイより少ないけれどぶどう作付面積は2倍と広く、様々な特徴を持ったワインが生産されています。

有名なのは辛口白ワインで、コルトン・シャルルマーニュ、モンラッシェ、ムルソーなどは世界でも最上級の白ワインと言われています。

ブルゴーニュワインの首都・ボーヌ

建物

ボーヌは「ワインの首都」とも呼ばれる、古くからのブルゴーニュワイン集散地として栄えました。街にはワインショップやワインバー、ワイン博物館がありまさにワイン好きが満足できる街です。

その中でも最大の見どころは「オスピス・ド・ボーヌ(施療院)」。もとは貧民救済を目的に1443年に建てられた病院でした。この運営費として寄進されたぶどう畑はグラン・クリュの畑を含み、上質のワインが生産されるようになりました。

現在では11月に「栄光の3日間」と呼ばれるブルゴーニュ最大のワイン祭りが開催され、このオスピス・ド・ボーヌのワインが競売にかけられる一大イベントとなっています。

まとめ

花

なだらかな丘に牧歌的な風景が続き、時々歴史を感じる小さな古い街があらわれるフランス・ブルゴーニュ地方。その代表的なワイン生産地区と街をご紹介いたしました。

私が訪れた4月には車窓から菜の花畑が美しく眺められ気候も穏やかでドライブに最適でした。ぶどう畑を眺めながら屋外でランチを食べたり、試飲して気に入ったワインを箱買いしたりできました。

パリからも近いので、ワインに興味がある方はもちろん、そうでない方も興味深い小旅行ができるのではないでしょうか。