世界的に見ても安全な国と言われる日本。でも残念ながらフランスは、日本ほど治安が良いとは言えないため、渡仏の際は注意が必要となってきます。命にかかわることはもちろんですが、そうでなくてもトラブルには巻き込まれないようにしたいですよね。
今回は、パリ生活の長かった私の経験をもとに、友人や知人が実際に遭遇したトラブルなどを紹介しながら、フランスで安全に暮らすためのアドバイスをしたいと思います。
フランスと日本との治安の違い
常に緊張感を持って!
久しぶりに日本に帰ると、日本の治安の良さに驚きます。バッグや荷物を置いたまま席を離れたり、ズボンの後ろポケットから財布が見えていたり、口が開いたままのカバンを持って人混みを歩いたり……。日本ではよく見かける光景ですが、海外では避けたほうがよいことばかりです。
それを見てフランス人は「簡単に盗めそう」と冗談を言って笑いますが、フランスで同じことをしたら笑い事ではすみません。
状況の判断は自己責任で
バスや電車で忘れ物をしても、ほとんど戻ってくる日本とは違い、フランスでは紛失した物が出てくることは、まずありません。学校や職場も例外ではないと心得ておきましょう。
また、テロやドラッグといった日本ではあまり一般的でない犯罪も、残念ながらフランスでは起こりうるということを覚えておいてください。自己責任で状況判断し、事故や事件に巻き込まれないように注意しましょう。
フランスに多いスリとひったくり
ターゲットになりやすい日本人
スリとひったくりの被害は、フランスでは頻繫にあります。
残念ながら日本人はターゲットになりやすいようで、私の周りにも被害にあった人は大勢います。たすき掛けにしていたカバンを取られ、バイクで引きずられて大けがを負った人や、地下鉄で手に持った携帯電話をドアの閉まる瞬間に持って行かれた人もいます。
その他にも、小銭を貸してほしいと言われ財布を出したら、財布を持ち逃げされてしまったり、街中で人にぶつかられて後から財布がなくなったことに気づいたりと、犯罪の手口は千差万別です。
街中ではフランス人を見習おう!
お金だけの被害で済んだらまだ運がよかったと言えるほど、時に荒っぽい手口を使う場合もあるので、くれぐれも気を付けてください。「後ろにも目があるぐらいがちょうどいい」とフランス人の友人は言っていました。
ショルダーバッグはコートの内側に入れるか、前に持ってきて手で押さえる。リュックは背負わずに前にかけて両手で抱え込むなど、街中ではできるだけフランス人の真似をしましょう。
フランスで避けたい場所と行動
観光地には外国人旅行者を狙うスリやひったくりがたくさんいます。パリ市内なら国鉄の各駅およびその周辺、サクレクール寺院で有名なモンマルトルやノートルダム寺院周辺、または日本人向けの商店が並び、観光客の多いオペラ座界隈が特に要注意エリアです。
街中で財布を出したり、地図を片手にうろうろしないように注意してください。
夜間はどこも避けたほうが無難ですが、人気のない路地や地下鉄の通路はフランス人でも狙われやすい場所です。また、女性の一人歩きは、金品目当て以外にも危険なので、深夜に帰宅する場合は、なるべくタクシーを利用するか男性の知り合いに送ってもらうようにしたほうが安心です。
また、女性の露出度の高い服装や腕にかけたバッグは、いろいろな意味で狙われやすいので控えたほうがよいでしょう。
トラブルを避けるために
現金を持たないことで被害を最小限に
フランス人は普段、現金はほとんど持ち歩きません。10~20ユーロを財布に入れておくぐらいで、それ以上の現金が必要ならばその都度ATMで引き出します。現金を持たないことによって、スリやひったくりの被害を最小限に食い止めることができるのです。
現金を引き出す際には周囲に気を配り、なるべく道路沿いのATMより銀行内のものを使いましょう。暗証番号入力の際は手元を覆って隠してください。
キャッシュカードやクレジットカードは、できれば現金と同じ場所にしまわないようにして、仮に1つがダメでももう1つ決済手段を準備しておけば、もしもの時にも安心です。
普段の外出時にブランド品を身に着けない
また、日本のように普段の外出の際に高級ブランド品を身に着けることは、フランスではあまり一般的ではありません。狙われることを避けるため、特に公共交通機関を利用する際は、ブランド物などの高級品は身に着けないようにしましょう。
最後に、言うまでもないことですが、危険な界隈には足を踏み入れないことが何より肝心です。
自分の身は自分で守ろう
日本ではあまり、見知らぬ人についてくことはない人でも海外では開放的になってしまうのか、なぜか知らない人について行ってしまう人が多いのです。
「友達!」と言われ、本当に仲良くなれることもあれば、残念ながら法外に高い料金を請求される店に連れて行かれたり、犯罪に巻き込まれたり、金品を巻き上げられたりする可能性もあると心得ましょう。
また、安易に滞在場所や電話番号やSNSなどの交換をすると、その後の行動を監視されることにもなるので、くれぐれも自己責任で個人情報を提供しましょう。自分の身を守ることができるのは自分だけなのだと心得て、日本にいる時以上に用心しましょう。
- 在仏日本国大使館公式サイト:https://www.fr.emb-japan.go.jp/
まとめ
カバンの持ち方ひとつでも、狙われるかどうかが決まってきます。フランスの治安は、日本とは違うということをしっかりと認識しましょう。現地の状況に適した行動や服装に留意して、せっかくのフランス滞在を台無しにしないようにしてくださいね。
また、日本大使館や領事館、カード会社や銀行の緊急連絡先は事前に控えておき、万が一の場合はすぐに連絡が取れるようにしましょう。
心がけ1つでトラブルは避けられます。起きてしまっても被害を最小限に食い止められるよう、普段から気を付けたいものです。
Bon séjour en France!