私はロンドンで1年間、働いていました。ロンドンで働くことを選んだ理由は夫の留学です。夫が社会人から学生になり収入が無くなるので、一緒について行き、その間少しでも生活費を稼ごうと思ったことがきっかけです。
ロンドンというのは正直なところ意外でした。しかし当時、日本で仕事をしながら別の何かを探していた私にとって、ロンドンで働くことはそれまでの生活や価値観を変えるいい機会になりました。
この記事では、ロンドンでの仕事探しや実際の勤務を経て、私がどのように変化したかを綴っていきます。
ロンドンで働くまで
日本の大学を卒業後、新卒で客室乗務員として働いていました。ずっと憧れていた職業であり、仕事は好きで毎日とても充実していましたが、シフト制で生活は不規則。国際線では時差の大きい国へ行ったり、徹夜のフライトも多かったりし、家族と予定を合わせるのが大変でした。
勤続年数が増えていく度に、潰しが効かない仕事だとも感じるようになりました。事務経験はなく、機内サービスしかできない自分に何ができるのか。勤務を続けながらも他のことに挑戦したい気持ちで、興味のあることを焦りながら探していました。
そんなとき、夫の留学が決まり、ロンドンで新しい仕事を探すことになったのです。
どうやってロンドンで仕事を探そう?
日本とは違う就職活動
海外で仕事を探す場合、一昔前はCV(履歴書)を持って店に飛び込み!なんてことも多かったそうです。今もそのように求職活動をしている人もいるとは思います。
ただ、一般的にはインターネットサイトの掲示板や日本語フリーペーパーに載っている求人をチェックします。具体的に就きたい仕事がある人は、その業種の会社のホームページなどでも求人の有無を確認するでしょう。
ロンドンで暮らす日本人は多く、在英国日本国大使館(https://www.uk.emb-japan.go.jp/)によると、2018年現在、約35,000人いると言われています。
日本人が多いということは、それだけ日本人向けの会社や店が多くあるということになります。私が探していたときも、日系のレストランなどを始め、常に何かしら日本人の求人がある状態でした。
自分をアピールできないと仕事は得られない
そんな風に日本人向けの仕事が多いロンドンには、日本人向けの転職エージェントもあります。私は自分に何ができるか分からなかったので、とりあえずエージェントに面接に行きました。
まずは英語で自己紹介をと言われたのですが、何も考えていなかったため言葉に詰まってしまい、とても落ち込んだのを覚えています。何がやりたいか分からず受け身でいるだけでは、何も仕事は紹介してもらえません。日本でエージェントに相談したときとは違うと感じました。
具体的に、私には何ができて会社にどんな利益をもたらすことができるのか。海外では、少し大袈裟なくらいに自信を持ってアピールできないと仕事が見つからないのです。
結果的には、インターネットの掲示板に出ていた求人に応募する形で仕事を見つけることができました。
選んだ仕事とその決め手
仕事内容
決まった仕事先は日系の旅行会社でした。現地のオプショナルツアーの手配などが私の主な仕事で、電話とパソコンを使ってのデスクワークでした。
オプショナルツアーの予約が入ると、まずツアーの予約状況と定員を調べてホテルや列車の予約をし、日程表と請求書を作ります。1人で進められることではありますが、先方への連絡がうまく取れない時やイレギュラーがあった時などは、コミュニケーションの難しさを痛感しました。
それでもお客様の旅行に関わることは、思い出づくりに参加している気持ちでとてもやりがいがありました。
選んだ理由
旅行をする人とは前職でも多く関わってきたので、少しだけ共通する部分があるかなと思えたことがこの仕事を選んだ理由です。実際、英語力にはあまり自信がなくても、空港や飛行機にまつわる専門用語には慣れており、お客様の送迎にアテンドした時などに役立ちました。
ロンドンで働いて良かったこと
英語での電話に慣れた
日系企業で仕事をしていましたが、社外でやりとりする相手は日本人ではないことがほとんどでした。
特に電話は顔が見えず身振り手振りも通用しないので、とても抵抗がありましたが、やるしかない状況が続き、英語での電話応対に慣れたことは成長を感じたことのひとつです。
少しのことでは動じない強さが身についた
イギリスに限らないことかもしれませんが、良くも悪くも人によるという理不尽な例を多く目の当たりにしました。前回だめだと言われたことが今回はすんなり通った、ということもありました。
マニュアル主義の日本の会社でしか働いたことが無かったので、最初は面食らいましたが、それでも不思議と仕事が回っているのです。小さなことで動揺したりイライラしていたら身が持たないので、どっしりと構える気概を少し身につけられたと思います。
メリハリのある生活ができた
取引先が残業しないので、こちらも残業する状況になりません。むしろ残業してもやることが無いということになってしまうのは、いい循環を生んでいます。定時に帰れればメリハリのある生活ができることを実感しました。
海外で働くことを考えているあなたへ
日本を出て海外で働くと、いいかげんな部分が目についたり、理解に苦しむような理不尽なことに遭遇したりします。ビザの手続きや生活に関わる色々な雑務も、日本に比べるとスムーズにいかないので、大変に感じることの方が多いと思います。
でも、特に真面目すぎる人は海外で、ま、いいかと思えるくらいのいい意味での適当さを経験をするのもいいかもしれません。小さなことで慌てないようになったり、これまでよりおおらかになったりして、自分にも周りにも少しやさしくなれるのではないでしょうか。
中でもロンドンは移民の街で、言葉も文化もあまりに皆違いすぎて、スタンダードが無いという印象です。私にとっては、自分の中で勝手に決めていた「普通はこうだろう」といった価値観を変えられるよい機会になりました。
まとめ
ロンドンで働いた経験は、私の視野をグンと広げました。自分で勝手に決めつけている価値観の存在に気づけたからです。また、物事がスムーズにいかない経験をし、少しのことでは動揺しない自分へと成長できました。
自分にできることは何なのか、日本で働いていた頃から考えていました。何もできないんじゃないかという焦りは、未経験だったデスクワークなどの経験を通じて、興味を持った仕事には挑戦してみようと思えるようになりました。
できることばかり考えず、挑戦しようと思えるようになったのが大きな変化でした。