アメリカの首都、ワシントンDCでは毎年3月から4月にかけて「全米桜祭り(National Cherry Blossom Festival)」というお祭りが開催されます。日本がアメリカに送った桜の木を発端とした、日本人にとって感慨深いお祭りです。
桜が開花する時期に行われるので、数々のイベントをお花見と一緒に楽しめます。今回はワシントンDC在住の筆者の体験を通して、全米桜祭りについて紹介します。
全米桜祭りとは日米友好の桜を記念するイベント
1912年に日本からアメリカへ桜の木が2,000本贈られたことを記念するお祭りです。桜祭りの歴史は古く、1935年から始まりました。途中戦争で中断されましたが、現在も日米友好を象徴するお祭りとして続いています。
桜祭りは毎年3月中旬~4月中旬にかけて開催され、期間中は桜や日本をテーマにした大小さまざまな催し物があります。
たこ揚げ大会(Blossom Kite Festival)やミニステージ、お花見など、ほとんどのイベントは無料で楽しむことができます。
また、開会式やパーティー、コンサートのように一部有料で、チケットの予約が必要なものもあります。チケットの必要なイベントも毎年人気で、早めの手配が賢明です。
さくらまつり(縁日)は全米最大の日本文化発信デー
お祭りの期間中開催されるイベントの一つに、現地の日本人会「ワシントンDC日米協会」が主催する「さくらまつり」があります。全米桜祭りと同じ名前ですが、こちらは英語では Japanese Street Festival です。日本文化にちなんだ1日規模のイベントとしては全米最大の縁日です。
入場料がかかりますが、エリア内では日本食の屋台や武道などのステージが楽しめます。ワシントンDC周辺在住の日本人や日本文化が好きな人に特に人気のイベントです。
- 公式サイト:http://www.jaswdc.org/
おすすめのお花見スポットは2カ所
(写真:桜並木の中は乗馬した警官がパトロールしています)
毎年お祭りの期間中にDCの桜が見ごろを迎えます。
一番人気のお花見スポットは、ダウンタウンの第2次世界大戦記念碑(WWⅡ Memorial)の近くにあるタイダル・ベイスン(Tidal Basin)という大きな池のほとりです。池の周辺にぐるりと桜が植えられています。天気の良い日は特に青空と湖畔の白い記念碑群に桜が映えてきれいです。
また、スミソニアン博物館群があるナショナル・モールの端、ワシントン・モニュメント(Washington Monument)の周辺にも桜並木があります。こちらは若く小さな木が多いですが、木の根もとに座って休憩している人もいて、のどかな雰囲気のなかで花見ができます。
たこ揚げ大会とお花見へ実際に行ってみた
筆者はカイト・フェスティバルとお花見に参加してきました。
カイト・フェスティバルは3月末に行われる無料のたこ揚げ大会です。たくさんの人が持参したたこを揚げて楽しんでいました。たこ作りのワークショップがあったり、野外コンサートがあったりと、たこを持っていない人も楽しめるプログラムでした。
日本のお花見と違い、路上での飲酒は禁止されているので、お花見スポットに長時間陣取っている人はほとんどいません。
写真を撮ったり景色を見たりと、少し立ち止まってもすぐ移動する人が多いので、混雑していても身動きが取れないということがなく、日本よりもゆとりをもって桜を見ることができました。
- Blossom Kite Festival公式サイト:https://nationalcherryblossomfestival.org/
桜祭りに行くときの注意点
- 気候の影響によって、桜の花のコンディションはとても変わりやすいです。2017~18年は2月から開花してしまったり、雪や大雨で散ってしまったりと特に乱れていました。
- お花見スポットや一部のイベント会場周辺の駐車場は数が少なく、駐車場を探す車で混雑しています。メトロやバスなどの公共交通機関の利用がおすすめです。
- お花見中はもちろん、アメリカでは路上での飲酒が禁止されています。
- お花見スポットのタイダル・ベイスンの桜並木には、柵がない場所も多いです。桜観賞中に池への転落にご注意ください。
基本情報
- 正式名称:全米桜祭り(National Cherry Blossom Festival)
- 開催時期:毎年3月中旬~4月中旬 (2019年は3月20日~4月14日)
- 時間:各イベントにより異なるのでホームページ要確認
- 公式サイト:https://nationalcherryblossomfestival.org/
- 花見スポット:タイダル・ベイスン(Tidal Basin)
- アクセス:メトロのブルー、オレンジ、シルバーラインのスミソニアン(Smithsonian)駅から徒歩15分。第2次世界大戦記念碑(1750Independence Ave. SW)の真南
まとめ
日本人にとってもなじみ深い、桜をテーマにした全米桜祭りについて紹介しました。日本が贈った桜がアメリカでも愛されていることが実感でき、日米関係や日本文化について考えさせられるお祭りでもあると思います。
アメリカに長く住んでいる方が、お花見や日本食の屋台などのイベントを目当てに来ることも多いイベントです。長期滞在中日本が恋しくなってきた頃に、日本語や日本文化に触れるといい気分転換になります。
ほかのアメリカ東海岸の都市から電車や車でアクセスしやすいので、ぜひ春の休暇の旅行先にいかがでしょうか。