日本では健康保険制度がうまく機能しており、安定したシステムが保たれているため、医療費の負担も軽く体調が悪いときには気軽に病院に行くことができます。それに反して、できるならば病院にはお世話にならないほうがいいと考えるのがアメリカです。
私もアメリカに引っ越してからは、なるべく病院に行かなくてもいいように健康を維持できる方法を色々と模索しています。そこで今回は、私が行っている健康管理法をご紹介します。
※1ドル=約108円(2019年7月現在)
アメリカの医療技術
アメリカの医療技術は世界最高レベルといわれています。そしてアメリカの医療費も世界最高レベルです。アメリカに住んでいると、たとえ健康保険に加入していても医療費の額は日本に比べるとはるかに高額です。
例えば、知り合いのケースです。ある夜急に腹痛を訴えてER(救急医療センター)で3時間かけてレントゲン検査と医師による診療を受けました。結果、診断は便秘による腹痛ということで、特に何の治療もなく帰宅しました。
後日届いた請求は900ドル。知り合いは驚きを隠せなかったと話していました。保険でカバーされてもその値段です。そのため医療費が払えずに自己破産する人も少なくなく、アメリカの医療制度は貧困層を苦しめる深刻な問題となっています。
ハーブを有効に活用する
現代ではリラックスする目的で使われることが多いハーブですが、古代より人間は薬として使用してきました。アロマオイルなどで注目されて以来、私たちの生活にすっかり浸透したハーブですが、薬としても大いに効果を発揮します。
ティーツリー
ハーブの中で私が一番よく使うのは、ティーツリーの精油です。ティーツリーはオーストラリアに生息する常緑樹の一種で、オーストラリアの原住民アボリジニが古くから万能薬として使ってきました。
我が家ではティーツリーを殺菌や消毒の目的で使用しています。ティーツリーの精油を水に一滴落としてうがいすると、のどを殺菌し、痛みをやわらげます。切り傷や吹き出物にも薄めたティーツリーを塗っています。確実に治りが早く、薬を買いに行く手間が省けます。
ユーカリ
呼吸器系に作用があることで有名なユーカリは、咳が止まらないときに精油をマスクに一滴垂らして使用しています。スーっと鼻が通りやすくなり、気管がリフレッシュします。
マスクの中で息がこもって不快になることもなく、夜もそのまま快適に眠ることができるので重宝しています。抗ウイルス作用も持ち合わせているので、副鼻腔炎になりやすい私には必需品です。
ペパーミント
私は胃腸が弱く、よく胃もたれや腹痛を起こすので、アメリカで自分に合う胃腸薬をずっと探していました。しかし、薬局で見かける一般的な薬は、奇抜な色でいかにも体に悪そうなものや大きすぎて飲み込むことすら難しそうな錠剤などばかり。そこで見つけたのがペパーミントでした。
乗り物酔いしたときにはペパーミントの精油のにおいを嗅ぐと、不快感が改善します。吐き気に対する効果はアメリカの病院でも認められており、病院でも嘔吐する患者にペパーミント・オイルを数滴垂らしたガーゼを与え気分を整える手助けをすることがあります。
また、食あたりや食べすぎなどで胃やお腹の調子が悪いときにも、常備しているペパーミントのカプセルを服用しています。カプセルには乾燥させたペパーミントの葉がぎっしり入っていて、飲むと喉の奥が爽快になり不快感も改善します。おすすめです。
エルダーベリーで免疫力を高める
エルダーベリーは北米やヨーロッパ原産のエルダー・ツリーから取れる濃い紫色のベリーです。抗酸化作用がある栄養素を持つことで有名で、アメリカでは風邪やインフルエンザなどを予防する目的で利用する人が多いです。
我が家では大人にはシロップタイプのものを、子供には食べやすいグミタイプのものを常用していて、毎日忘れず摂っています。
家の近所にある農場などでは手作りのエルダーベリー・シロップを売っているところもあり、人気なので風邪やインフルエンザなどの感染症が流行りだす秋口になるとすぐに売り切れます。
もちろん病気の感染を完全に予防することは難しいですが、症状を最小限に抑えることはできます。
たとえば、先日胃腸風邪を患い嘔吐、発熱してしまったのですが、エルダーベリーのおかげで翌日にはすっかり回復しました。ひどい咳を発症した息子も、たったの1日で咳が止まり、発熱もひと晩でおさまり翌日は元気に学校へ行きました。
このように、発症してしまっても回復が早いのがエルダーベリーの効果の特徴です。
他にもエルダーベリーにはガンや高コレステロール、便秘や頭痛などにも効果があるといわれています。万能ですね!
一番重要なのは食べ物
健康をキープするためにもっとも大切なことは、やはり食べ物に気を付けることです。幸いアメリカでは野菜やフルーツがとても安価で手に入るので、我が家では毎晩食後にはフルーツを数種と、料理も野菜をメインに使ったものを作っています。
バランスよく食べることも大事です。週に最低1度は魚を、肉はメインではなく、あくまで野菜を主食とした食生活を心がけています。我が家はできれば野菜は農薬を使わないオーガニックのものを好んで買っていて、原産地などもできるだけ気にしています。
オーガニック野菜が通常の野菜よりも値段が高いのは当たり前ですが、その問題に注目したユニークなビジネスが近年登場しました。
Imperfect Produce(https://www.imperfectproduce.com/)は、検品で引っかかり商品として出荷できなかった野菜やフルーツを、手ごろな価格で自宅まで届けてくれる会社です。
たとえば形のいびつなものや、傷がついたものなど、見た目は悪くても味や品質には問題がないものを安く手に入れることができます。
料金ですが、オーガニック野菜の場合、2人分(7〜9パウンド)を毎週$15〜17で届けてもらうことが可能です。通常の野菜ほどの料金でオーガニック野菜が手に入ります。
私も最近このサービスを受け始めたのですが、自分の好みの野菜を登録することができるので、使い慣れない野菜が残ってしまうこともありません。何より、まだ食べられる野菜を無駄にすることなく必要な人たちが利用できるという発想がとても素敵だと思いました。
インド人の習慣に倣う
私にはインド人の友達が多くいます。インド人の中には宗教上の理由による菜食主義の人が多く、家にお邪魔すると毎回野菜をたっぷり使った料理をふるまってくれます。
インド料理のレストランにもお肉を使わないメニューが多く、アメリカ料理に比べるとヘルシーなのでよく利用しています。
そしてインド人はターメリックというスパイスをほぼ毎食摂取しています。ターメリックはウコンの根茎を粉状にしたスパイスで、マイルドな風味でどんな料理にも合うとされています。
ターメリックに含まれるクルクミンという成分は抗酸化作用を持っていることで有名です。そのおかげか、インド人のガン羅患率はインドのGDPをはるかに上回るアメリカや他の国々よりも低いとされています。
いくらインド料理が好きだと言ってもさすがに毎日食べることは難しいので、私はターメリックのサプリメントを摂っています。グロサリー・ストアで簡単に手に入るのでおすすめです。
そして、インドいえばヨガです。私は半年前にヨガを始めました。もともと運動が苦手なのですが、ヨガは運動能力や持久力などは必要としません。
続けていくうちに、バランスの良い筋肉がつけられるだけでなく、精神をリラックスさせる効果があると自らの体で実証することができました。おかげで体が柔軟になり、体力も増し、睡眠の質も改善しました。
ヨガはいいことずくめです。アメリカにはヨガ・スタジオが多くあり、ほとんどのフィットネス・ジムでヨガのクラスを受けることができます。アメリカ人もヨガは大好きです。
薬物依存の実態
アメリカが抱える深刻な問題のひとつが薬物依存です。薬物と聞くと、マフィアやセレブリティなどが乱用している光景が思い浮かびますが、実際の薬物問題はもっと身近なところにあります。現在では一般家庭にも薬物が影響を及ぼしているのが現状です。
薬物依存の原因のひとつに挙げられるのは、医師に処方された鎮痛剤などの薬に依存してしまうケースです。
私は数年前にアメリカの病院で帝王切開の手術をしました。出産といえどれっきとした開腹手術なので、術後は4日間入院し、退院した後は自宅療養で痛み止めを処方されました。
ご存知かもしれませんが、アメリカではどんな病気やケガにしても病院に入院する日数は日本よりもはるかに短いです。その代わり、自ら痛みに柔軟に対応できるよう医師は比較的容易に薬を処方してくれます。
たとえば私の場合、強い鎮痛剤であるオピオイドの一種ヒドロコドンを最初の1週間ほど処方されました。オキシコドンも以前処方されたことがあります。
これらは乱用に陥りやすく、医師のオフィスに行かないと手に入れることができません。ですが、痛みを訴えることで複数回追加処方してもらうことが可能です(例外もあります)。
私が気を付けていることは、薬は必要以上飲まないことです。医師に言われるがままに痛みに耐えず薬を飲み続けると、依存してしまう危険性があるからです。
私の場合、ヒドロコロンは最初の数日のみで服用を止め、イブプロフェン(非オピオイド鎮痛剤)だけを服用していました。アメリカで医療を受ける場合は、この点にも気を付けておいたほうがいいかもしれません。
私が考えるいちばんの健康管理法とは
これまでにお伝えしたように、私が行っている健康管理は高いお金をかけるわけでもなく、自然に根付いた昔ながらの方法を取り入れたものがほとんどです。
薬の種類が増えるにつれて私たちの生活は便利になりましたが、できる限り医療や薬に頼らない、健康な日々を過ごすことが一番理想的だと思います。特に医療費が高いアメリカでは、なるべく病院に行かないように心がけることはとても重要です。
アメリカに住んでみようと考えている方、すでに住んでいる方へのマメ知識としてお役に立てたらと思います。ぜひ参考になさってください!