ニュージーランドは太平洋に浮かぶ島国です。南北に広がる緑豊かな国土を持つ点では、日本とニュージーランドは似ています。しかし、気候まで同じだろうと思うのは早いです。
なぜなら、この国には超強烈な紫外線や、コロコロ変わる予測困難な天気があるからです。私はニュージーランドに渡った直後、風邪をひいて何週間も喉を痛めた経験があります。
私のような失敗をしないためにも、環境に適した装備をすることが大切です。この記事では、そんなニュージーランドに適した服装を、気候や天気を解説しながらご紹介します。
ニュージーランドの気候・天気
気候
ニュージーランドの大部分は西岸海洋性気候です。これはイギリスと同じ気候区分です。暑すぎず寒すぎず、ちょうどいい温暖な気候と言えます。
もう少し細かく見ると、北島北部は雨が多く暖かい亜熱帯性の気候、南島の高地には厳しい寒さの気候が広がります。ニュージーランドは南半球にあるので、北に行くほど暑く、逆に南に行くほど寒くなります。
南島には、雄大な南アルプス山脈が南北に走っています。その山脈に隔てられるようにして、西側は雨が多く、東側は乾燥した気候になります。なんだか、日本の冬に似ていますね。
さて、全体的な気候はこんな感じです。次は3つの主要都市の気候や天気を見ていきましょう。
オークランド
ニュージーランド最大の都市オークランドは、一言でいうと暖かく雨が多い街です。夏の日平均気温は23℃、冬は14℃。暖かくて過ごしやすい気温です。
雨が多いのは冬(6~8月)なのですが、夏(12~2月)も湿度が高いです。オークランドに住んでいた私の友人の話では、夏に洗濯物を干そうものなら、乾くまでに7日間かかるほど湿っているそうです。
また、にわか雨が多いのもこの街の特徴です。急に降ったり止んだりするので、外出時には雨具を持っていきましょう。
クライストチャーチ
クライストチャーチは、南島の東海岸に位置する都市です。ニュージーランドでは比較的乾燥していて、年間降水量は約600mmです。日本で最も雨が少ない長野県(年間降水量約900mm)と比較しても、少ないということがわかります。
さて、「クライストチャーチでは、夏(12~2月)に雨が多い」というデータがあります。しかし、この街に住んでいる私の経験から言うと、「雨の日」は冬に多いです。
冬は曇りの日や霧雨が多いのに対して、夏は晴れの日が多く、けれどたまにしっかりとした大粒の雨が降るので雨量自体は夏に多くなるようです。
夏の日平均気温は22.5℃、冬は11.3℃です。冬は氷点下になることもありますが、雪は年に1回降るか降らないか程度です。いずれにせよ、寒いことに変わりはないので、防寒具がマストです。
ウェリントン
ニュージーランドの首都です。特徴は風。風が非常に強いです。世界中の都市の年間平均風速を比較したこのサイ(https://shawnvoyage.com/)で、ウェリントンは世界一風が強い街に選ばれました。
年間平均風速は、8.05メートル/秒。そして、1年のうち22日が平均風速20.6メートル/秒以上を記録します。ちなみに、台風の定義は「平均最大風速17.2メートル/秒以上」です。つまり、台風レベルの風がガンガン吹く「風の街」なのです。
風は強いですが、気温は安定しています。年間を通して、6℃から25℃の間を外れることはめったにありません。
ニュージーランドの紫外線事情
ここまででニュージーランドの気候や天気は、日本人が馴染むにはそう難しくないとおわかりいただけたと思います。
さて、ここからが本番です。本当に知っておかなくてはいけないのは、ニュージーランドの紫外線の恐ろしさです。のちのち説明する、ニュージーランドでの服装選びでも重要なポイントになります。
紫外線の強さとその理由
UV指数をご存知でしょうか?紫外線の強さを指標化したもので、数字が大きいほど紫外線が強くなります。夏のオークランドでは、UV指数が13になることがあります。これはすでに、外出を控えるべきレベルです。その他の都市のUV指数はこちら。
日本だと、沖縄が同じようなUV指数を記録しています。沖縄よりもずっと赤道から離れているのに(オークランドの緯度の高さは東京とほぼ同じ)、なぜこんなに紫外線が強いのか。主な理由は以下の3つです。
- 紫外線を吸収してくれるオゾン層が、ニュージーランド上空で薄くなっている
- 大気汚染がない澄み切った空では、紫外線が地上に届きやすい
- 南半球が夏になる時期に、太陽と地球の距離が短くなる
ニュージーランド人はどう思っている?
強烈な紫外線を浴びているニュージーランドですが、ニュージーランド人はどのような意識で紫外線対策と向き合っているのでしょうか。
残念ながら、多くのニュージーランド人は紫外線に対して楽観的です。街行く人々を見ると、肩や首、腕などの露出が多い服を着ている人ばかり。ニュージーランド人の多くは白人ですが、痛々しいほどオレンジ色に焼けこんだ人も見かけます。
そして、ニュージーランドは「2018年 メラノーマ(皮膚ガンの一種)の発生率が世界第2位」という悲しい結果をだしました。
毎年300人以上のニュージーランド人がメラノーマで亡くなっているのです。
専門家の中には、この発生率の高さは、人々の紫外線対策に対する意識の低さにあると主張する人もいます。
ニュージーランドでの服装
いよいよ、服装についてご紹介します。ニュージーランドでの服装選びのポイントは2つです。
紫外線から肌をバリア
日向に出るときは、肌という肌を覆います。夏でも長袖長ズボンが望ましく、帽子はつばが広いものが良いです。ここで、クライストチャーチ在住の私が普段どのような格好で過ごしているか、お見せします。
- 長袖パーカー(屋外ではフードをかぶる)
- 丈の長いパンツ
- 運動靴
- 帽子
- サングラス
私は肌が弱く、日焼け止めを塗らないので、夏でもこのような格好です。
この服装のポイントは、腕や足が隠れていることはもちろん、首や耳、胸元までしっかりと覆われていることです。さらに、帽子をかぶることでサングラスと顔の隙間から入る光も遮れます。
体温調節のしやすさ
ニュージーランドは「1日の中に四季がある」と言われるほど気温の変化が激しいです。午前中は晴れていたのに、午後には雨が降りだし、寒冷な南風が吹き荒れることがあります。外出するときは、サッと羽織れる上着を持っていきましょう。
余談ですが、ニュージーランド人は皆、好きな服を自由に着ている印象があります。冬でも裸足の人、夏でも長袖の人(私です)、雨でもタンクトップの人、皆それぞれ自由な装いです。
ニュージーランドに持っていく服を選ぶときは、オシャレも良いですが、体温調節のしやすさや動きやすさを考慮しましょう。
ニュージーランドに持っていくべき物
ニュージーランドの気候や天気に合わせた、持っていくべきものをご紹介します。
紫外線対策グッズ
もうこれで何度目でしょうか、紫外線の話をするのは。しかしそれほど大事なことなのです。紫外線対策と言えば日焼け止め。ニュージーランドで使う日焼け止めは、SPF30以上のものを選びましょう。
また、紫外線にはUVAやUVBといった種類があります。UVBという紫外線は本来、オゾン層でほとんど吸収されるため地上には届きにくく、日焼け止めによっては、UVAは防ぐがUVBは十分に防がないものがあります。
しかし、ニュージーランドは上空のオゾン層が薄いため、これを無視できません。つまり、UVAとUVBの両方を防いでくれる日焼け止めを選ぶことが大切なのです。
さらに、日焼け止めを塗る頻度も重要です。屋外で活動するときは、2時間に1回を目安に日焼け止めを塗りなおしましょう。
折り畳み傘とレインコート
旅行の必需品、雨具についてです。オークランドのような急に降ったり止んだりする雨対策には、折り畳み傘を持ち歩くのが良いです。
ウェリントンのような風が強い街、またクライストチャーチのような霧雨が降る街は、傘よりもレインコートが適しています。風に流されやすい小粒の雨が、傘などものともせずに、横から襲いかかるからです。
私もクライストチャーチに住み始めた頃は傘を使っていましたが、霧雨と風の洗礼を受けて、すっかり心が折れました。今では、雨の日はレインコートを使用しています。
ベストシーズンとおすすめスポット
ニュージーランドは春夏秋冬全てが素晴らしいのですが、その中でも私の一番のおすすめは「夏」です。
なぜなら、とにかく天気が良いからです。旅行をするなら、カラッと晴れた日こそ気分が上がりますよね。海に囲まれた島国なので、カヤックやサーフィンなどのマリンスポーツに挑戦するのも良いでしょう。
ただし夏は繁忙期なので、アクティビティやホテルの予約は早めにしましょう。そして、紫外線対策をしっかりしましょう。
そんな夏のニュージーランドで、私がおすすめするスポットを1つご紹介します。
フランスの文化が残る町、アカロア
アカロアは、かつてフランス系移民が開拓した港町です。フランス風の雰囲気が漂い、海沿いへ行けばたくさんの船とカモメが出迎えてくれる、そんな美しい街です。
アカロアで人気のアクティビティは、世界最小のイルカであるヘクターズ・ドルフィンと一緒に泳げるツアーです。野生のイルカなので、触ることは禁止されています。それでも、好奇心旺盛なイルカたちは自ら近づいてくるので、間近で見られます。
このイルカと泳ぐツアーは一年中参加できますが、海に入るため、暖かい夏の日が最適です。このツアーは要予約です。
イルカと泳ぐツアーの基本情報
- 名称:Black Cat Cruises(ブラック・キャット・クルーズ)
- 住所:Main Wharf, Akaroa 7520
- アクセス:クライストチャーチから車で90分
- 営業時間:9am ~ 5pm
- 電話番号:0800-937-946(ニュージーランド国内からのフリーダイヤル)
- Eメール:akaroa@blackcat.co.nz
- 公式サイト:https://blackcat.co.nz/japanese/
- グーグルマップ:https://goo.gl/maps/kGJN5F5cU4S2
まとめ
ニュージーランドの気候や天気が、この記事を読む前よりも鮮明にイメージできたと思います。ではもう一度、ニュージーランドでの服装・持ち物をまとめます。
- 紫外線を防げる装備(長袖・長ズボン、帽子、サングラス)
- SPF30以上、UVAとUVBの両方を防ぐ日焼け止め
- 急な気温の変化に合わせた服装
- その土地の天気に適した雨具
この記事を読んでくださった皆さんなら、ニュージーランドでの服装・持ち物選びに失敗することはありません!安心して旅行や滞在をお楽しみください。