アメリカ、サンディエゴで最も有名な博物館といえば、この本物の空母を使ったミッドウェイ博物館をおいてほかにありません。
日本ではけっして見ることのできない巨大な空母の中には、数多くの戦闘機や、当時の最新テクノロジーがそのままの形で展示されているエリアと、マネキンを使って兵隊の生活風景が再現されているエリアがあります。
日本では失われてしまった戦争の道具を直接目にすることができる歴史的に価値がある博物館です。
ミッドウェイ博物館とは?
ミッドウェイ博物館は、本物の空母を使った戦争博物館です。
そもそもミッドウェイは、1945年から1991年までベトナム戦争や湾岸戦争で活躍した本物の空母です。空母の名が指す通り、300メートル近い長大な滑走路を天井に備え、最大142機もの戦闘機と4,000名の船員を運搬することができます。
現在博物館になっているものは、1991年に役目を終えた後、博物館として改造されたものです。なので、戦闘能力自体はありませんが、ちゃんと整備しなおせば、動かせるほどに当時の姿をとどめています。
ミッドウェイ博物館の案内
はじめに
入場料は20米ドル前後です。ミッドウェイ博物館は、戦争に関連したもの、とりわけ空母に関連した展示になっています。
戦争に詳しくない人にもわかりやすいように、無料の日本語の音声ガイドがあります。入り口すぐのところにある受付で「Japanese(ジャパニーズ)」といえばすぐに借りることができます。
入り口、格納庫(1階)
この博物館にきて驚くのは、その船とは思えないほどの巨大な船体です。300メートルという数字では想像もできないほど圧倒的な存在感があります。
まず足を踏み入れると、パイプがむき出しになった無骨な船内に驚ろかされます。お客様に楽しんでもらうことが目的の豪華絢爛なクルーザーなどと違い、灰色一色のその姿は、当時戦争に赴く兵士の心情を投影しているような重みがあります。
その次に目に入るのは、船内に整然と並べられた戦闘機の数々です。こちらもおそらく日本人が想像する倍以上の規模ですので、小さな子供はそれだけで興奮してしまうことでしょう。
この展示されている戦闘機ですが、主に艦載機(かんさいき)と呼ばれるものが置かれています。日本の米軍基地でみられる一般的な戦闘機と違い、この艦載機は翼を小さく折りたたむことが可能になっています。
これは、船内という限られた空間をできるだけ効率よく使うため生み出された形です。
屋上(2階)
管制塔
船の屋上は、滑走路になっています。滑走路の横には下の格納庫から戦闘機を上げるためのリフトが完備されています。そのほかに、比較的新しい戦闘機が滑走路を囲むように並べられています。
そして、何よりも目を引くのは、滑走路全体を見渡せるように建てられた管制塔です。この中に入るにはツアーに参加する必要があります。万が一逃した場合でも、係りの人に話せば、翌日限定の無料券がもらえるので安心です。
さて、その管制塔の中ですが、急な階段が続きます。ここはこの船の心臓部にあたり最も大切な機能が集まっています。例えば、航路を決めたり、船の舵を取ったりするシステムのほか、管制塔なのでもちろん、航空機の管理をしているエリアもあります。
航空機管理室
2階で最も印象的なのが、航空機の管理をしているところです。そこは小さい会議室ほどの空間ですが、所狭しとSF映画のような透明のパネルが立てられています。
その中には発艦した航空機のシリアルナンバーのリストがあり、いくつかの番号の横にはXがついています。これは撃墜されたという印で、生死不明という意味です。
海の上で撃墜されたら、基本的には戦死した兵士の遺体は返ってきません。仮に生きていたとしても広い海で見つけ出すのは至難の技です。そういうことを考えながら見ると、戦争というものの厳しさが少しだけ理解できたように思いました。
地下(住居、機関室)
住居エリア
兵隊の居住場所ですが、全体的に背が低い造りになっています。扉は、大柄な男性はかがまないと通れません。寝室に至っては個室は存在せず、足を曲げなければ寝られない人もいたほど小さいものしかありません。
そのほかにも船内には、食堂に医務室さらに郵便局などいろいろなものが揃っています。特に郵便局は家族と連絡を取るため重要でした。
航空機に乗せられて届く家族や親しい人たちからの手紙は、海で孤独に耐えている兵隊たちにとって癒しになっていました。そのため、手紙がどのように届けられたかを紹介する部屋があったりします。
さらに下層階に行くと、機関室など、船を動かすための部屋が並んでいます。全体的に所狭しとパイプが張り巡らされており、注意して歩かないと頭を打ってしまいそうな感じです。
主にエンジンや空調設備などが並んでいます。混んでるときは、立ち止まったりはできないところなので、もしゆっくり見たい方は、平日に訪れることをおすすめします。
誰と行くのがおすすめ?
博物館への入場者は、観光客や家族連れ、老夫婦といった人たちでした。博物館ということもあるので博識な人と一緒に来るのをおすすめします。もし、いなければ仲のいい友達でもいいです。
というのも、この博物館は船自体が大きな展示品です。すべてのものにパネルがついているわけではありません。そのため一度見ただけでは、気づけないことも多いでしょう。
しかし、誰か素直な感想を言える人といけば、きっと一人では気づけなかった何かを見つけることができると思います。
ミッドウェイ博物館の感想
感想としましては、日本ではほとんど見られない貴重なものが数多く展示されている印象でした。なので、必ず心に残るものが見つかると思います。
特に同じように見物している人たちの雰囲気が印象に残っています。私たち日本人は戦争に敗れました。学校では戦争は悪いことだと習い、広島の原爆以上のことはあまり習いません。
しかし、ここでは多くの人が戦争に勝ったことを誇りに思っています。博物館内では、日課のように兵器の横でお茶を楽しむ人たちもいます。小さなスクリーンの前では解説の車椅子のおじいちゃんが英雄譚を語るように昔のことを語っています。
展示物だけではなく、それを見る人々の様子の違いも非常に興味深く感じました。
ミッドウェイ博物館の基本情報
- 名称:USS Midway Museum
- 住所:910 N Harbor Dr, San Diego, CA 92101
- アクセス:US San Diego Blue Line線 America Plaza駅より、西に歩いて10分
- 営業時間:午前10時から午後4時
- 電話番号:(619) 544-9600
- 公式サイト:https://www.midway.org/
まとめ
おそらく世界中を見渡しても空母を博物館にしているところは、ほとんどないと思います。
日本は残念ながら敗戦国なので、当時の空母や戦闘機は見ることができません。百聞は一見に如かずという言葉があるように、知識としての戦争を知るだけでなく、直接ものを見ることで感じられることもあるはずです。
もし、戦争がどのようなものであったのかを知りたいという気持ちがあるならば、いつかは訪れるべき場所だと思います。