バルト三国の1つ、リトアニアにある「十字架の丘」を知っていますか?何もない草原の中に、突如現れる大量の十字架たち。大勢の人々が訪れては十字架を供えてきた場所です。現在ではキリスト教徒のみならず、世界中から観光客が訪れるスポットとなりました。
とはいえ都会の中にあるわけではなく、もともと何もない場所だったため、ツアー以外で訪れようとすると少々厄介です。私が訪れたときのルートを紹介します。
十字架の丘概要
十字架の丘とは
十字架の丘はリトアニアにあります。シャウレイという街から12キロメートルの場所にあり、ユネスコの無形文化遺産の1つにも選ばれています。
キリスト教徒たちにとっては巡礼地ともなっていて、数多くの十字架が置かれている姿は本当に圧巻。キリスト教を信仰していない人々にとっても、目を奪われるその風景は、世界旅行に行ったら一度は訪れるべきスポットとして、最近さらに人気が高まっています。
基本情報
- 名称:十字架の丘
- 住所:Jurgaičiai 81439,Lithuania
- MAP:https://goo.gl/maps/oAYD6WjX1fN2
- 電話番号:+370 41 370860
- 公式サイト:http://www.kryziukalnas.lt/
- 入場料:なし
十字架の丘に隠された悲しみと強い意思
ロシアへ蜂起した兵士の鎮魂が始まり
リトアニアはカトリックの国。宗教をめぐっては、悲惨な過去がありました。
リトアニアがロシア帝国(のちにソ連)に侵略され、属国として脅威にさらされている時代(18~20世紀)、宗教的にも迫害されていたのです。1990年にソ連からの完全な独立を果たすまで、その迫害が続きました。
そんななかいつからか十字架がこの丘に置かれるようになり、リトアニアの人々の精神的なよりどころの場所となっていきました。最初はロシアへの反乱兵の遺体の代わりに、冥福を祈るために十字架を建てたともいわれています。
非暴力という意思から平和の象徴へ
宗教面以外だけでなく非暴力によってソ連からの独立を勝ち取るという、リトアニアの人々の意思を示したシンボリックな場所ともなりました。
もちろんソ連がリトアニアを統治下においていた間には、この丘の存在も認められていませんでした。幾度となくブルドーザーなどで破壊されたり燃やされたりしています。
しかし独立後は平和の象徴となり、ローマ法王のほか十字架をささげる人がひきもきらず訪れました。その結果、はっきりとした数は把握されていませんが、現在では約5万個以上の十字架が置かれているといわれています。
十字架の丘へはシャウレイからバスがおすすめ
十字架の丘へは、シャウレイから路線バスで行けます。
その他の都市から向かう場合、シャウレイまでは長距離路線に乗り、その後シャウレイで乗り換えるといいでしょう。例えば、リトアニアの首都ビリニュスや観光地のカウナスからはかなりの距離があるため、一度シャウレイまで行く必要があります。
シャウレイのバス・ターミナルはかなり大きく、前述したカウナス、ビリニュスなどといった都市、また隣国であるラトビアから入国した場合も、こちらのバスターミナルに必ず寄ります。
リトアニア国内の移動はバスが基本。電車での移動は、ダイヤが少ないのであまりおすすめではありません。
バス・ターミナルから十字架の丘への行程
シャウレイからはJoniškio行きの路線バスに乗り、途中にあるDomantaiというバス停で降りて十字架の丘まで向かいます。数多くの旅行者がこのバスターミナルから十字架の丘を目指すので、要求しなくても地図をくれる場合もあります。
Joniškio行きのバスは、6~19時までであれば、1時間に1本程度走っています。
Domantaiのバス停まで、30~45分程度で到着します。周りはほとんど草原で、時おり家が建っているような田舎道。降りそこねないように気をつけましょう。そこから徒歩で15分から20分ほど歩くと、十字架の丘が見えてきます。
近くには管理センターとお土産物などを販売しているショップがあり、そちらで土産や記念品などを買えます。ツアーバスの発着場ともなっています。
道路から1本の遊歩道がのびていて、十字架の丘の中へと入ることができます。
十字架の丘の楽しみ方・注意点
十字架の丘の広さは、ぐるっと回れば10分ほどです。が、数多くの十字架を目にしていると、ついついゆっくりめぐってしまいます。
風景は本当に圧巻で、自分の周りがぐるりと十字架で囲まれている不思議な感覚を楽しめました。キリスト教徒なら、なおさら畏敬の念におそわれるでしょうね。
巡礼地で独立運動の象徴の丘
この地はあくまでも信仰の対象。歴史的経緯を考えると、極端な悪ふざけや過度の写真の撮影などは控えるべきだと考えられています。
日本でもときどき遺跡へのいたずらがニュースになりますが、もしもここでいたずらをすると世界中から非難されるでしょうね。
雨具の用意を忘れずに
十字架の丘への道もそうですが、丘そのものも、雨を遮る場所が一切存在しません。建物も管理センターしかないような、ひたすらにだだっ広い草原です。雨具は必ず持っていってください。時期によっては防寒具もちゃんと用意したほうがいいです。
まとめ
リトアニアにある十字架の丘は田舎にポツンとある観光地でありながら、ものすごく知名度が上がってきています。
書籍やネットでもさまざまな写真を見ることができますが、行って自分の目で見れば、息をのんで驚くことうけあいです。ヨーロッパに行くことがあれば、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。