スペインやイタリアを旅行した人なら「アペリティーボ」というバール文化を知っているかもしれません。おつまみを食べながらアルコールを楽しむいわゆる「食前酒」のことです。イタリア・ミラノだけにある、ひと味違うアペリティーボのことはご存知でしょうか?
今回は、ミラノのアペリティーボとは何か?自分のお気に入りのアペリティーボを楽しめるバールを見つける方法、そして頼み方もあわせて紹介します。
※1ユーロ=120円(2019年11月)
アペリティーボとは
アペリティーボとは、日本語でいう「食前酒」です。一般的にはカクテルやワイン、ビールをバールで飲んでからディナーに出かけるという文化です。
もちろんミラノでも他のヨーロッパの都市と同じように、「ドリンク+ちょっとしたおつまみ」のアペリティーボが存在します。ミラノのたいていのバールではこのスタイルのアペリティーボを楽しめます。
しかし今回ご紹介したいアペリティーボは、なんとドリンクを頼むとビュッフェがついてくるというもの。アペリティーボという名前はついていますが、食べ放題のれっきとしたディナーなのです。
アペリティーボの値段は?
ブュッフェ付きアペリティーボはたいてい10ユーロ(約1,250円)前後で楽しむことができます。豪華なブュッフェを提供しているバールでは12ユーロ(約1,500円)ほど、こじんまりとしたブュッフェを提供しているバールは8ユーロ(約1,000円)ほどです。
値段とブュッフェの種類の多さはたいてい比例すると考えていいでしょう。
アペリティーボは誰と行くのがおすすめ?
アペリティーボに来ている人を見ると、20代から40代くらいの年齢層が目立ち、学校の友達や仕事の同僚と一緒の場合が多いようです。お酒を飲む場なので、子供連れやお酒を飲めない年齢の若者を見かけることはありません。
わたしはよく友人との食事にアペリティーボを活用しています。まだ食の好みがわからない初対面の人と一緒に行くこともあります。ブュッフェスタイルなので、自分の好きな物を好きな分だけ取れることも魅力のひとつです。
アペリティーボの時間帯
ビュッフェがついてくるとはいえ、やはりそこは「アペリティーボ」です。
アペリティーボを楽しめる時間帯は、ディナー前の17時から21時くらいまで。イタリア人の一般的なディナータイムは、だいたい20時から始まるので、一応ディナー前のアペリティーボということになっています。
お気に入りのアペリティーボの店を見つけよう
アペリティーボに求めているものは人によって違ってくるでしょう。
オシャレなカフェで優雅にワインを傾けたい人、ガヤガヤした雰囲気で楽しくカクテルを飲みたい人、アルコールより料理を楽しみたい人、ブュッフェの種類が多いほうがうれしい人など、お気に入りになるバールは人によって変わります。
ブュッフェ付きアペリティーボを楽しめるバールが集まっているのは「ナヴィリオ地区」。若者が集まるゾーンで、オシャレでハイセンスなショップも並び、街歩きをするにも楽しい地区です。
ナヴィリオ運河沿いで「アペリティーボ」の看板が出ていたなら、少し中を覗いてみてください。ブュッフェの質を重視する人は、中に入ってビュッフェを見てみるのもいいでしょう。
何軒もアペリティーボを楽しめるバールが並んでいるので、見比べながらここだと思うバールを見つけてください。
アペリティーボの頼み方
アペリティーボをするバールを見つけて入店したら、まずはドリンクを注文しましょう。アルコールは「ALCOLICO」、ノンアルコールは「ANACOLICO」と表記されます。
待っているとウエイターが注文したドリンクを運んできます。そのタイミングで代金を支払います。レシートを受け取ったら、ビュッフェタイムです。
アペリティーボで食べ物も楽しもう
アペリティーボということもあり、ブュッフェの種類はやはり前菜になるものが多め。生ハムやサラミにチーズ、フォカッチーナ(小さいパンやピザなど)やポテトはどこのブュッフェでも見かけます。
イタリアらしいモッツァレラチーズやパルミジャーノ・レッジャーノチーズを楽しめることもブュッフェ付きアペリティーボの魅力でしょう。
種類の豊富なブュッフェになると、サラダバーがついているものや肉料理、パスタ、パエリアなどを揃えている場所もあります。さらにバールによってはドルチェやフルーツがついていることも。なんとチョコレートフォンデュができるところもあるんですよ。
注意点
注意点として、ブュッフェでの追加料金はかかりませんが、ドリンク2杯目からは追加料金がかかります。お酒をたくさん飲みたい人には物足りないかもしれません。
また基本的には賑やかな場なので、ゆっくり話をすることは難しいようです。バールによっては落ち着いた雰囲気の所もあるので、探してみるといいでしょう。
まとめ
周りのイタリア人を観察してみると、たくさんお酒を飲むためでもたくさん食べるためでもなく、たくさんおしゃべりをするためにアペリティーボを活用しているように思います。
ビュッフェで取るのは軽いおつまみ程度で、賑やかな場に負けずずっと友人や恋人とおしゃべりを楽しんでいます。
ミラノを訪れたら、ぜひ1度は試して欲しいアペリティーボ。イタリア人の食や人間関係の文化もかいま見ることができるでしょう。