ニューヨークのMuseum of Arts and Designに行ってみた!

Museum of Arts and Design









セントラルパーク周辺にはメトロポリタン美術館など、世界的にも有名な美術館が数多く存在します。中でもあまり知られていないのが「Museum of Arts and Design(ミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザイン)」。

この美術館では現代的な手工芸品を見ることができるほか、現在ニューヨークで活躍するアーティストの作品制作工程を目の前で見ることができます。

今回は私も初めて行ってきたので、その様子をご紹介します。

※1ドル=約108円(2019年10月)

Museum of Arts and Designについて

Museum of Arts and Design

主な展示内容

Museum of Arts and Design、略して「MAD」とも呼ばれているこの美術館では、粘土やガラス、金属、繊維、または木材など様々な素材からできた、斬新で現代的な手づくり工芸品を見ることができます。所蔵しているコレクションは30万点以上。

展示されている美術品の中には、椅子や棚、陶器など、生活に取り入れたくなるインテリアに関連した作品が含まれており、現代アートに詳しくない人でも、気軽に楽しむことができます。

美術館の歴史

MADが創立されたのは1956年。アメリカ工芸品文化の保存に努めたアイリーン・オズボーン・ウェッブ氏によって「The Museum of Contemporary Crafts(現代工芸美術館)」として創立されました。

1979年には「American Craft Museum(アメリカ工芸美術館)」と名称変更し、現在のニューヨーク近代美術館の前へと移転します。

2002年には「Museum of Arts and Design」と名を変えると共に移転が決まり、2008年、現在の所在地のコロンバス・サークル2番地へ。

その後、斬新な切り口の展示で入場者数を徐々に伸ばし、現在では年間約30万人以上を迎え入れるニューヨークでも現代工芸美術に特化した個性的な美術館へと成長しました。

時代感覚とともに変更された名称

2002年に「Museum of Arts and Design」という名前へと変更した背景には、世界の工芸に対しての意識の変化が影響しています。

2001年に一般市民を対象に行った世論調査で、多くの人が「Craft(工芸)」という言葉に「安っぽい」または「ダサい」というイメージを持っていることが明らかになったのです。

それぞれのアーティストによって作られた、個性ある芸術品を展示する美術館の名前にふさわしくないということから、新しい現代的なイメージとなるよう「Craft」という文字を取り除き、現在の名前へと変更されたそうです。

入場料について

入場料は以下の通りです。

  • 一般:16ドル
  • シニア:14ドル
  • 学生:12ドル
  • 18歳以下は無料

※学生は英語で書かれた学生証が必要になります。

木曜日の夜6~9時は寄付金で入場することができます。

ちなみに今回私は、木曜日の夜に行って1ドルで入場しました。他の美術館では寄付金で入場できる日に行くと、かなりの混雑でじっくり見られないことが多いのですが、MADでは静かにゆっくりと見て回ることができました。

市内アーティストのサポートを展開

ウェブサイト

※出典:Museum of Art and Design公式ウェブサイト https://www.madmuseum.org/

アーティスト・スタジオズ・プログラム

「アーティスト・スタジオズ・プログラム」はニューヨーク在住の作家へのサポートを目的として、2008年からスタートしました。

このプログラムには2つの制度があります。1つは「MAD奨励制度」といい、1人のアーティストにフルタイム(週40時間)でMADのスタジオで制作活動することを条件に、15,000ドルが支給されます。

もう1つは「デイリー・レジデンス制度」と言って、アーティスト6人が週1日、スタジオで制作活動をすることで1日125ドルが支給されるというもの。

どちらも6カ月間のプログラムになっていて、厳しい選考に通った才能あるアーティストにのみ与えられます。中には既にニューヨークで活躍している人もいます。

アーティストの制作現場を来場者に公開

このプログラムでアーティストが使用できるスタジオには、オープン・スタジオ(MADの来場者が入れるスタジオ)とクローズド・スタジオ(来場者が入れないスタジオ)の2つがあり、アーティスト・スタジオズ・プログラムに参加するアーティストは、必ずオープン・スタジオで制作する機会が与えられます。

こうすることでMADの来場者はニューヨークで活躍していたり、これから注目されるようになる若手のアーティストの制作現場を見ることができます。アーティストにとっては多くの人の目に触れる機会が与えられるという、両者にとってプラスとなるプログラムになっているんです。

フロアごとの展示紹介

フロア案内

美術館の回り方

美術館は2階から5階までがギャラリーとなっていて、6階はアーティスト・スタジオズ・プログラムに参加しているアーティストのオープン・スタジオがあります。

私が行った日は、2階が閉まっていたため写真を撮ることができませんでした。通常は芸術に関連した映画が公開されているそうです。

美術館はあまり大きくないので、1時間ほどで見られます。エレベーターがフロアの中央にありますが、結構待たされます。そこでおすすめは、フロアの左右にあるドアから階段を使って上がっていく方法。

私が階段をすすめる理由は効率よく美術館を回れるだけでなく、階段の踊り場に飾られたMADのコレクションを見ることができるためです。

グラス

車いすの方や階段で上がるのが難しい方は、階段で上がらなくても、エレベーターに向かってフロアの左側にあるドアを開けてみてください。隠れ美術品をみることができますよ。

3階

展示物

3階には「The Future of Craft Part 1(クラフトの未来 パート1)」が展示されていました。「クラフトの未来」がテーマということで、織物や刺繍といった伝統工芸とモダン・デザインがミックスされた作品群です。

展示物

他にも、このフロアにはMADのコレクションであるコンテンポラリー・ジュエリーが展示されています。素材はシルバーやゴールドだけではなく、紙やポリエチレン、木材などからできたさまざまな種類のジュエリーを見ることができます。

4階

展示物

4階には「The Future of Craft Part 2(クラフトの未来 パート2)」という3階と続きの企画でした。ここではガラス、繊維、粘土、金属、木材を使った45歳以下のアーティストを対象にした展示「The Burke Prize 2018」の受賞者の作品が展示されていました。

展示物

多くの人の目に留まったのがこちらの作品。ひもでつるされているのは、全て石です。しかも、色を後からペイントしているのではなく、自然の石の色をそのまま使用して、一つの絵を浮かび上がらせています

5階

展示物

5階では「Sterling Ruby: Ceramics(スターリング・ルビー:セラミック)」の展示。

ロサンゼルスを拠点にするアーティスト、スターリング・ルビー氏。金属製の彫刻や織物、段ボールで作ったコラージュなど、幅広い素材を使って作品を作っているアーティストなんだそうです。

このフロアでは、その中でもセラミックにフォーカスした展示となっていました。

展示物

色使いやいびつな形、まるで水に浮かんでいるかのような光沢感。今まで聞いたことがなかったアーティストでしたが、とても興味深い作品ばかりでした。

6階はアーティスト・スタジオ

展示物

6階はアーティスト・スタジオズ・プログラムに参加しているアーティストの作品が飾られていました。廊下を歩いていくと、奥にはオープン・スタジオがあります

私が行った日のアーティストは、Tamara Santibanezさん。

スタジオ

私が一歩スタジオに入ると、作業中であるのにもかかわらず、とても気さくに作っている作品について話してくれました。現在はレザーを使った作品に取り組んでいるところなんだそうです。

机には名前とインスタグラムの紹介があるので、その日いたアーティストの他の作品を見てみたいという人は後でチェックすることができます。

オープン・スタジオを抜けると、小さな展示ルームがあります。

展示ルーム

ここではプログラムに参加しているアーティストにフォーカスした展示を行っていました。今回展示されていたのはXin Liuさんの作品。アーティスト紹介とともに、興味深い作品が展示されていました。

眺めのいいレストラン「Robert」

レストラン

MADの9階には、おしゃれなレストラン「Robert」があります。

ガラス張りの窓からはマンハッタンの名所コロンバス・サークルを見下ろすことができ、インスタ映え抜群の景色です。夜になるとロマンチックな夜景を見られることから、カップルや女性に人気のレストランとなっています。

ランチではサンドウィッチやハンバーガーなどもあり、値段は20ドル程度。ディナーになると、メイン・ディッシュはすべて30ドル以上になるので、ランチに行くのがおすすめです。

お土産なら1階の「The Store」

お土産

MADの入り口から入ってすぐ右にある「The Store」では、ユニークでハイセンスな食器や陶器、ブックエンド、トートバッグなど、お土産に買って帰りたくなるようなアイテムが勢ぞろいです。

他にも、革製品のバッグやお財布、ジュエリーなども置いていて、まるでどこかのおしゃれなブティックにいるかのようでした。

ちなみにThe Storeの売り上げはすべて、MADの展示やアーティストの教育プログラムに使われるそうです。

お店

店舗情報

夜景
  • 名称:Museum of Arts and Design(ミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザイン)
  • 住所:2 Columbus Cir, New York, NY 10019
  • 電話番号:(212) 299-7777
  • 営業時間:10:00~18:00 木曜日~21:00
  • 定休日:月曜
  • アクセス:地下鉄で青のA、Cライン、またはオレンジのB、Cライン、または赤の1ラインで「59ストリート・コロンバス・サークル駅(59 St-Columbus Circle)」下車 徒歩1分
  • WEBサイト:https://www.madmuseum.org/

まとめ

ニューヨークには多くの美術館があるのでどこへ行くか迷ってしまう方も多いかと思いますが、Museum of Arts and Designは他の美術館に比べて、比較的短い時間で楽しむことができます。

もしセントラル・パーク周辺で時間が余ってしまったときは、ぜひ気軽に立ち寄ってみることをおすすめします。ニューヨークならではの、斬新でユニークな現代アートを楽しむことができますよ。