増加しているシンガポールでの出産とは?その特徴と注意点

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妊娠が発覚したら嬉しい反面、海外での出産となると悩みますよね。実際のところ、出産の4〜5か月前に帰省をして、日本での出産を選ぶ人が私のまわりに多くいるのも事実です。

2019年現在はシンガポール出産に関する情報収集がしやすいと感じますが、当地での出産経験者が周りにいないと、海外出産を決定するのはなかなか勇気が必要です。

今回は、私の体験をもとに、シンガポールでの出産に関して紹介します。悩んでいらっしゃる方のご参考になれば嬉しい限りです。※1シンガポールドル=80円(2019年4月現在)

シンガポール出産が増えた理由

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情報収集がしやすくなった

私はシンガポールで子供を2人出産しました。情報交換ができるママ友を増やすため、妊娠中は積極的に妊婦さんや子持ちの人に話を聞くなどしていたので、出産前は心強かったです。

それでも、上の子出産時の2015年は、日本で産む人が周りに多くいました。ネットでシンガポール出産を調べても、数件ブログがヒットするだけで、なかなか海外での出産をイメージすることができませんでした。

しかし、下の子出産時の2017年には、妊娠中にできた新しいママ友8人のうち、5人がシンガポールでの出産を控えている方々でした。ネットで調べても、シンガポール出産に関する記事やブログが充実していたので大変驚きました。

英語の壁がなくなってきた

ここ数年で病院内の通訳サービスが充実してきたことや、個人手配の同行通訳サービスが増えたことも、当地での出産が増えた理由の1つと言えます。

GLENEAGLES HOSPITAL(グレニーグルス病院)のNIPPON MEDICAL CARE(ニッポン・メディカル・ケアー)やRAFLES JAPANESE CLLINIC(ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック)などの日系医療クリニックにも日本人の産婦人科医がいらっしゃいます。

また、ローカルクリニックでも、外国人の対応に慣れており、英語でもゆっくり説明してくれるため、英語に抵抗のない方々は日系以外の選択肢もあります。

どうしても言語補助が必要な場合は、Bright Relations(ブライト・リレーションズ)のような個人手配の通訳サービスもあります。予定によっては対応できないこともあるそうですが、深夜の緊急手配も可能とのことなので、一度詳細を確認しておくのもおすすめです。

病院内同行通訳(専門医も含む)が1時間50シンガポールドル(約4,000円)、夜中の対応は1時間75シンガポールドル(約6,000円)の深夜料金(午後9時から午前8時)が追加でかかります。

また、交通費は別途発生します。エリアによって料金は異なり、10シンガポールドル(約800円)から30シンガポールドル(約2,400円)は必要になるかと思います。深夜料金も追加されるので、実際の料金は問い合わせの際にあわせて確認してくださいね。

基本情報

夫婦の時間

もう1つの理由として考えられるのが夫婦の時間の確保です。

私の友人には、ご主人と離れたくないし、出産時に立ち会いができない可能性が高いので、シンガポールでの出産を選んだという方が数名いました。私も出産までの時間を主人と過ごしたいというのと、立会い出産が希望であったので、シンガポール出産を決めました。

最近は夫婦での協力育児を推奨する動きもありますので、その影響もあるのかと思います。不安な心を少しでも払拭してくれる家族と過ごすのは、出産前の貴重な時間だと思います。

出産する病院の選び方

病院

病院選び

病院は緊急時に備えて、家から近い範囲で選ぶことをおすすめします。家や職場付近のエリア内にある病院から探すのが早いですが、緊急時にはタクシーで行けばよいと考えると、そこまで狭いエリアに絞ることもないと思います。

私はグレニーグルス病院で出産をしましたが、自宅から病院まではタクシーで20分ほどの距離です。2度目の出産時は、陣痛が始まってからタクシーで病院へ向かいましたが、夜中だったので20分もかからなかったのを覚えています。

けれども、もしピークアワーで渋滞している時だと30分以上かかることもあるので、近所の病院だと、やはり安心です。

産婦人科医選び

日本人医師は言葉の壁がありませんし、日本にいる時と同様に検診を受けることができます。ローカル医師であっても、きめ細かい配慮をしてくれる先生もいらっしゃるので、英語に抵抗がなければ、より性格的に合う方を選びましょう

女性医師か男性医師かによっても、大きくご希望はわかれると思います。評判も重要な要素ですが、先生との相性は大事だと思うので、やはりご自身で訪れてみるのが一番です。

私は男性のローカル医師を選びましたが、よく気持ちを読み取ってくれる方で、最初から最後まで大満足の出産でした。

無痛分娩も選びやすい

妊娠センター

シンガポールの無痛分娩事情

シンガポールと日本で一番大きな違いは、全ての病院が無痛分娩に対応しているという点です。

シンガポール国内で産婦人科と小児科で有名なKK病院では、一日あたり平均で35人の赤ん坊が産まれていますが、年間5,000人以上の分娩を無痛で行なっているとのことです。(2014年3月の情報)

出産の検診やお産に関するお得な病院のパッケージが、はじめから無痛でプランされているケースも多く、無痛分娩に慣れている先生が多いです。

私は無痛分娩を選択

私は痛みに弱いので、妊娠初期の段階で、絶対に無痛分娩と決めていました。出産前は、デメリットを耳にすることもありましたが、私はメリットしか感じませんでした。

スムーズな無痛分娩への運びとなったので問題もなく、陣痛の痛みがない分、産後の回復が早いように感じました。疲れてグッタリすることもなかったので、心の余裕がありました。

無痛分娩のメリット

とにかく一言で「痛くない」というのが一番のメリットです。無痛とはいっても、お腹から下あたりの痛みを感じないだけで意識はあります。足を触られると感覚がわかる程度の麻酔なので、全然怖さはありませんでした。

1人目の出産では、ちょっと痛いぐらいの時に麻酔をしてもらったので、注射後は出産までの数時間爆睡してしまったくらいです。

また、2人目出産時は突然陣痛が始まったので、悶えるほどの痛さを経験することにはなりましたが、麻酔をしてもらってからは無痛状態だったため、1時間ほど寝たり、携帯で動画を見たりしていました。

出産前の緊張の中、痛みを感じずリラックスできるのは本当にありがたいと感じました。

無痛分娩のデメリット

出産の痛みは母になる痛みだという人もいます。普通分娩で産むと、何時間も痛い思いをしてから出産するので、とても夫婦の絆が深まるという人もいました。

また、普通分娩で産んだ友人と会った時も、あまりに過酷な陣痛の話を聞くので、だんだんと無痛分娩であることを言いづらくなることもあります。こうしたことを踏まえると、無痛分娩のデメリットは痛みが経験できないということかもしれません。

しかし、全く痛みがないといえばそれも落とし穴です。私は下の子出産時は、陣痛が始まってから病院へ行ったので、麻酔科医が来るまでの3時間ほど痛みに耐えなくてはいけませんでした。

痛みを感じてみたい人はちょっと我慢してみて、もうダメだと思ったところで麻酔をお願いするという手もあるかもしれません。けれども逆に、破水してからの分娩になった方の中には、麻酔が効かなくて最後まで通常通り痛いままだったという人もいたので注意が必要です。

また、分娩時のいきみ方が分かりづらい点もデメリットです。特に初産の方は、分娩の際に感覚を掴むまでの間少し手こずる可能性が高いです。

2人目の時は、いきむ時の感覚が分かっているのでスムーズに産むことができましたが、初産の時はどこに力が入っているのか感覚がつかめず、いきむのが難しかったです。

シンガポール出産の注意点

手続き書類

計画出産

シンガポールでは、日にちを決めてくる先生が多いです。先生のスケジュールを確保するためという理由もありますが、ご主人の仕事スケジュールに合わせたり、産後のお手伝いに日本から身内が来る場合など、計画を立てて出産をしたい方が計画的に出産をします。

とても合理的なので便利ではありますが、日にちを決められたくない方や促進剤は出来る限り使いたくない方などは、先生を選ぶ際に注意しましょう。

先生によっては、計画出産を推奨しているのか、計画的に産むことを前提に話をすすめてくる場合もあるそうなので、最初の段階で、計画出産でなくても良いかと確認しておく必要があります。

帝王切開

日本では帝王切開で産んだという方に会うことが稀だったので、とても大掛かりな手術だと認識していました。もちろん大変な手術であることには変わりないのですが、シンガポールで驚いたのは、意外にも帝王切開での出産が多いということです。

2015年のMOH(シンガポール保健省)の統計によると、33%が帝王切開での出産だということです。一方、帝王切開が増加傾向にある日本でも、2014年の時点で19.7%(厚生労働省の平成26年統計)なので、シンガポールの方がやはり多いようです。

私は帝王切開ではありませんが、帝王切開で出産したお母さんに話を聞くと、担当医による、帝王切開移行までの判断が早いのかなと感じました。

費用

やはり日本と比べると費用が高額です。妊娠2ヶ月目くらいからの検診費と検査費用、出産して退院するまでの入院費を合計してみると12,632.55シンガポールドル(約104万円)でした。

ちなみに、出産から退院まで2日間の入院費用は8787.55シンガポールドル(約72万円)ですが、帝王切開の方は3日間の入院なので料金が増えます。

日本でも、至れり尽くせりの豪勢な入院になると高額になりますが、シンガポールではたった2日間の入院と考えると、やはり日本よりはるかに高い料金です。

産後のケア

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産後のケアは家族やメイドを頼る

無事に退院した後、シンガポールでの産後ケアが不安という方も多いです。出産を機に、メイドを雇う生活を選ぶ家庭もありますし、ご都合によっては産後の数か月だけ産褥アマさんを手配する人たちもいます。

ご主人の会社によっては育児休暇を長く取れるところもあるそうなので、一緒に協力して産後の数か月を乗り切るということも、日本より行いやすいです。

私の場合は両実家に頼った

私は、上の子の時は自分の両親に来てもらい、下の子出産時は義理母と自分の両親に入れ違いで来てもらいました。

その際に、義理の母にはシンガポールから手配できる呼び寄せチケットを購入しました。義理母が自分で手配する必要もなく、費用も私たちが支払えるので、少ない負担でお手伝いに来てもらうことができました。

両親以外にも、姉妹や叔母に来てもらう方などもいるので、シンガポール出産を決めたら、まずは身内に相談してみることをおすすめします。

現地の人たちはどうしてる?

シンガポール人は共働きの家庭が多いのですが、産後のお母さんたちは3か月ほどで仕事復帰をします。実の父母や義父母に任せたり、メイドさんを雇うという家庭が多いです。

以前働いていた時の職場では、シンガポール人女性の上司が、孫の世話をするからと早期退職の道を選んでいました。

何十年も勤めたのにそんな理由で辞めてしまうことに驚いたのですが、こうしたケースは珍しいことではなく、年配の方々の間ではよくある人生の選択肢の1つだそうです。

まとめ

シンガポール

シンガポール出産のイメージが湧いてきたでしょうか。英語の壁も、以前より大きな問題ではなくなってきました。産後の問題も、情報が増えてきているので、各家庭に合う選択をしていくのはさほど難しいことではなくなったように思います。

ご夫婦で話し合って、自分たちの都合に合うように、また、少しでも心配事を減らせるような選択が重要です。母子にとって少しでも負担の少ない方法で、妊娠期も産後も楽しめるよう願っています。

費用がかかりすぎるという点は否めませんが、海外出産も実現が容易だと感じていただけたら幸いです。