オーストラリア・メルボルン近郊のワイナリーとして有名なのは「ヤラバレー（Yarra Valley）」でしょう。“あの”シャンパンのドン・ペリニョンを生産しているモエ・エ・シャンドンが、フランス以外で唯一持っているワイナリーがあり、工場見学もできるからです。
でも、あなたがせっかくメルボルン近郊に住んでいて車を持っているなら、次は日本ではあまり知られていないワイナリーに行ってみませんか？山と海の景色にグルメも楽しめるレッドヒル・エステート（Red Hill Estate）を紹介します。
レッドヒル・エステートがあるのはモーニントン半島
モーニントン半島（Mornington Peninsula）は、メルボルンのCityから南西方向に下った地区で、ハイウェイを使って約1時間半の距離です。半島の大部分には牧場や田園などののどかな風景が広がっており、レッドヒル・エステートのほかにもたくさんのワイナリーがあります。
半島の先端、ソレントのあたりには美しい遠浅の海が広がり、小さなペンションが立ち並んでいて、地元の人の手軽なビーチリゾートとしても人気があります。
オプショナルツアーで人気のペンギンパレードが見られるフィリップ島も近いのですが、モーニントン半島側からはアクセスできないので、ぐるりとまわりこむ必要があります。
レッドヒルの特徴
レッドヒルはモーニントン半島のほぼ中央、半島を南北に分けるように斜めに走る丘陵地帯の南側にあります。南側ということは南極側からの涼しい風が入り、さらに北側からの暑い空気を丘陵の尾根がさえぎってくれるため、夏でも極端に暑くならないという特徴があります。
また土壌は火山性の土が多く、斜面ということで水はけもよいので、ワイン用のぶどうの生育に適した土壌と環境が揃っています。
ただ急斜面のところもあるため、ヤラバレーのように大きなワイナリーではなく、レッドヒルにはブティックワイナリーと呼ばれる比較的小さな規模のワイナリーやブドウ畑が点在しています。
現在、約1,000ヘクタールの土地に200を超えるブドウ畑があり、60軒ほどのワイナリーが点在している、カリフォルニアのナパバレーなどと同等のワイナリー激戦区といえる場所です。
レッドヒルにあるワイナリー
レッドヒルには小さくて個性的なワイナリーがたくさんあります。
有名なところは、
- 併設されているレストランが高い評価を受けている「テンミニッツ・バイ・トラクター（Ten Minutes by Tractor）」
- 小規模でも丁寧なワイン造りと、併設レストランでのお食事が人気の「パリンガ・エステート（Paringa Estate）」
- モダンで美術館のように広いセラーが評判の「ポート・フィリップ・ エステート (Port Phillip Estate) 」
です。
ブドウ畑の先に海が見えるレッドヒル・エステート
中でも私のイチオシは「レッドヒル・エステート（Redhill Estate）」です。その理由は何と言ってもロケーションの良さと、併設されたレストランの料理の美味しさにあります。
セラーに入る前に、ちょっと寄り道をしてブドウ畑を眺めてみましょう。ブドウ畑は海に向かって下る斜面にあり、晴れた日には畑の先に海が見えます。吸い込まれそうなブドウ畑と海。ワインの本場であるフランスやイタリアでもなかなか見られる光景ではありません。
オーストラリア、モーニントン半島のレッドヒルだからこその光景は、必見です。
レッドヒル・エステートのテイスティング
景色を楽しんだら、いよいよセラードアに入り、テイスティングをしてみましょう。団体で行く場合には事前予約が必要ですが、個人はぶらりと立ち寄ることができます。
比較的小さく、ちょっと古びたセラードアの中に入るとカウンターがあり、スツールに座るか立ったままでテイスティングができます。
迷ったら有名な白と赤を
待っていると係の人が「何が良いですか？何か飲みたいものはありますか？」と聞いてくれるので、指定しても良いですし、もし特別にお目当てがなければ白のスパークリングから始まり、軽い白、重い白、ロゼ、軽い赤、重い赤、さらにデザートワインまで、このワイナリーが作っている全種類を試飲することができます。
レッドヒル・エステートは白のシャルドネ、赤のピノノワールが世界的な品評会でも高く評価されているので、お酒に強くない人は、まずこの有名な白と赤だけでも試飲をしてみてください。気に入ったワインを買って帰り、家であけるのも在住者ならではの楽しみです。
Max’s Restaurant
ワインセラーの奥に作られたレストランです。全体がガラス張りなので、ランチでは明るい雰囲気の中、ブドウ畑を眺めながら美味しいお料理をいただくことができます。ディナーは一転して遠くの街の灯りを眺めるシックでロマンティックな雰囲気になります。
結婚式に使われるなど人気のレストランなので、必ず予約をしてから行きましょう。地元の食材を使い、イタリアンとフレンチを融合させた独特のモダンな料理を楽しむことができます。
景色とグルメを味わったら、海辺も楽しもう！
レッドヒルのあるモーニントン半島は、地元の人に人気のリゾート地です。お食事の後には、ちょっとドライブをしてみましょう。
レッドヒルの南、フィリップ島の側には「フリンダース（Flinders）」があり、その先には「モーニントン半島国立公園」があります。外海に面した崖に、激しく打ち寄せる波を見ながら歩ける木道が整備されていて、お向かいのフレンチ島、フィリップ島を眺めることができます。
またゴルフ好きな人には有名な「ケープシャンク（Cape Schank）」のゴルフコースも近くにあります。
フリンダースとは反対の内海側は、穏やかな海が広がります。モーニントン半島の先端、ソレント周辺で、ビーチを眺めながらのんびりカフェでお茶を楽しむのも良いでしょう。
まとめ
レッドヒルにはたくさんのワイナリーがあり、その多くがハイレベルのレストランも併設しています。レッドヒル・エステート以外にも、あなたのお気に入りのワイナリーがきっとみつかるでしょう。何回か通って、複数のワイナリーを比較してみるのも楽しいですよ。
在住者だからこそ何回も通って楽しむことができる、それがモーニントン半島やレッドヒルの魅力なのです。
