グローバル化が進んだ現代において、われわれ日本人の働き方も昔と比べて大きく変わってきました。「終身雇用」と呼ばれていた時代も終わり、転職というものが一般的になってきたように思います。
この記事を見ている皆さんの中にも、転職、海外転職を考えている人もいるのではないでしょうか?
筆者は、現在マレーシアのジョホールバルという町で現地採用として働いていますが、以前はごく普通の日本のサラリーマンでした。この記事では、普通のサラリーマンであった私が、なぜ海外就職という道を選んだのかについて書かせていただきます。
マレーシアで働くまで(日本での就職時代)
冒頭に説明した通り、私は大学を卒業した2009年から2016年まではごく普通のサラリーマンでした。当時、私は大手コンビニエンスストアのスーパーバイザーをしていました。
スーパーバイザーと聞くと、なにか大層な専門職のように聞こえますが、実際は7、8店舗からなる担当店の売り上げ向上を指導する、「コンビニに関わることなら何でもやる」といった仕事でした。
必要な資格も運転免許ぐらいだったので、退職時も当然履歴書に書けるような資格はありませんでした。
マレーシアで働くまで(日本の会社を退職した理由)
そんな、ごく普通のサラリーマンだった私が、どうして会社を退社することになったのでしょうか?理由は大きく分けて2つあります。
業務が同じことの繰り返しで、なにか新しいことにチャレンジしたかった
特に、30歳前後の人は同じことを考えていることが多いのではないでしょうか?仕事は嫌いではありませんでしたが、慣れすぎると人間は新しい環境を求めるものです。
そして、もう1つの理由のほうが私には重要でした。
昔からの夢であったバックパッカーになる
学生時代にアジアなどを旅行していたこともあって、旅が好きだった私は「いつか世界1周の旅をしよう」と、決めていました。しかし、会社に就職してからはまとまった休みというものが取れなくなり、すっかり海外からは足が遠のいていました。
いつかはやろうと思っていたことって、転職でも世界1周の旅でもなかなか最初の1歩が出ないものですよね?私は、28歳の誕生日をその最初の1歩と決め、それまでたいして貯金をしていなかったので、退職までの2年間でひたすら節約し、旅の資金を貯めました。
まずはニュージーランドでワーキングホリデー
30歳になり、ある程度の旅の資金が溜まった段階で、世界1周の旅の前にワーキングホリデーにも行ってみたいと考えるようになりました。
ワーキングホリデーとは
ワーキングホリデーとは、日本と提携した国が労働者として約1年間のビザを発給するものです。取得できる年齢に制限があり、30歳というのは取得できるギリギリの年齢でした。
私は英語の習得という目的からニュージーランドを選びましたが、ニュージーランド以外にもオーストラリアやカナダ、非英語圏ですと、ドイツやポーランドなどがあります。
ニュージーランドには8か月滞在しましたが、語学学校に通ったり、ローカルのファームで農作物のピッキングなどをしました。これが私にとって初めての海外での仕事になったのですが、当時ファームで働いていた同じくワーキングホリデーで来ていた仲間がマレーシア人だったのも、私のマレーシア就職に影響しています。
文化や言語、宗教の違いを持つ人々と働くことは、同じ価値観を持つ日本人と働くことと比べると、最初は困難を伴います。しかし、日本人としか仕事をしたことのなかった私にとって、とても新鮮な体験でした。
世界1周へ、そしてマレーシアで働く
そして2017年4月から約1年2か月、バックパッカーとして世界を旅しました。行った国と地域の数はおよそ50ほど。この記事のなかでそのすべてを書くことは到底できませんが、名前しか聞いたことのない国に行き、さまざまな文化に触れ、決して裕福でない国の人々も、懸命に、しかし明るく生きている姿を目にしました。
「日本人は働きすぎ」と言われていますが、すべての海外の人が日本人より働いていないかというとそうでもなく、その日の生活や家族のため、将来のために一生懸命に働く姿を様々な国で見ることが出来ました。
会社のために働く傾向がある日本人とは目的が違うだけで、家族のために働く人を見た私は「働き方」の考え方を変えられた思いがしました。
マレーシアで働くまでに考えたこと
そうして私は1年ほどの旅を終え、日本に帰国しました。日本に帰国後、当然ですが貯金の大半を旅費に費やしていた私は就職を考えした。
その時に、今後の自分のキャリアを考え、また日本で働く選択肢はありませんでした。日本はご存知の通り、少子高齢化の影響を受け、労働人口が減少しています。
労働力を補うために、海外からの移民受け入れを以前より積極的に行ってはいますが、将来、経済成長が見込めるかと考えると、少し疑問です。
また仮に、将来日本で働くことになった際、そういった海外からの移民や労働者と仕事をする機会があると思います。当然彼らのすべてが日本語をしゃべれるわけではないでしょう。私は、いまのうちに、英語で海外の人と仕事をする経験を身につけたいと考えました。
マレーシアで働くための求人の探し方
海外就職には大きく分けて2種類あります。
海外駐在員になる
1つは、日本の会社からの指示で海外に転勤する海外駐在員です。会社に長く勤めていればそういうチャンスもあるかもしれませんが、私はその当時無職、また2年間履歴書に空白があるため、現実的に駐在員になるのは不可能でした。
海外で現地採用される
そこで、2つ目の現地採用で就職する方法を選びました。日本や外資系の企業で現地で採用されるこの方法は、駐在員よりも就職のハードルは下がります。ただ、給与や待遇面などはどうしても駐在員と比べると下がってしまいますが……
私の場合は、現地の転職サイトに登録して転職活動を開始しました。結果的にマレーシアに現地採用で就職が決まりましたが、タイやベトナムの転職エージェントにも登録していました。ちなみに利用させていただいた転職サイトはこちらになります。
桜リクルート社マレーシア:http://sakura-r.net.my/
マレーシアの転職活動ってどんな感じ?
転職サイトに登録をすると、エージェントからメールなどで連絡がきます。私が登録した転職サイトはすべてのエージェントが1度お話をしたいと言ってきました。やり取りは基本Skypeなどネット通話できるものが多く、相手の顔を見ながら、面談していきます。
基本的に聞かれることは
- これまでの経歴
- なぜ海外での就職を希望するのか
- 希望職種、業界
- 希望給与
- 勤務希望都市
- 勤務開始可能時期
- 最終面接は現地で行われることが多いが、渡航は可能か?
未経験からでもマレーシアで挑戦
私の場合は前職が営業職でしたが、あえて職種を絞らずに、様々な求人を紹介してほしいと伝えました。東南アジアでは日系企業の営業職はとても求人が多いですが、日本でやっていた営業職以外にも別の職種にも挑戦してみたいと考えていたからです。
転職サイトによっては、日本で説明会を実施しているケースもあります。直接会って話をしてみたいという人は、そういった説明会に参加されてみるのもいいでしょう。
ひと通り面談したあと、履歴書や英文職務経歴書の提出が求められると思いますので、事前に作っておくのもいいかもしれません。
資格はないけどマレーシア就職できるのか
しばらくすると、転職サイトからいくつかの求人票が送られてくるので、それにエントリーしていきます。求人票からすべてを判断できるわけではありませんが、自分が興味がありそうな仕事を見つけて、エントリーします。
転職活動はタイミングも大事なので、もし気に入った求人がなかったら、しばらく様子見するのも必要だと思います。自分の今後の人生に大きくかかわってくるので、慎重に行いましょう。
書類審査をパスすると、転職エージェントを通して面接の予約を行うことになります。面接はSkypeで行うことが多いですが、日本にオフィスがある会社だと、そちらに行って面接を受けることになります。
面接では、転職エージェントから聞かれた質問以外に
- 入社してどのようなことをしたいか?
- これまでの経験をどのように生かせるか?
- マレーシア以外にベトナムにオフィスがあるが、勤務後の転勤は可能か?
などの質問がありました。企業によっては英語力を試すため、上記の質問を英語で聞いてきて、英語で答えるといったケースもありました。日本語でも面接の受け答えというのはなかなか難しいものですが、英語でとなると、よりむずかしいですね。その面接は結局不採用でした。
そのような面接の中で、私はベトナムの会社を3社、マレーシアの会社を2社受け、それぞれ1社づつ内定をいただきました。最初に転職サイトに登録をしてから3か月がたっていました。
仕事をしながらの転職活動ではあまり感じないと思いますが、私の場合は、求職期間の3か月、他に何もやることがなかったので、少し焦りのようなものは感じました。
マレーシアで働くことを選んだ理由
2ついただいた内定のうち、私がマレーシアでの就職を選んだ理由は大きく2つあります。
多民族国家
1つはマレーシアが多民族国家である点です。マレーシアにはマレー系マレーシア人、中華系マレーシア人、インド系マレーシア人の3つの民族が共存している国です。そのうち6割はマレー系マレーシア人です。
海外旅行の際、宗教や民族の違いから対立が起きている国を訪れたこともありますが、マレーシアではそのようなこともなく、お互いの文化、宗教を受け入れたうえで、共存できる土壌があります。
海外に行くと、われわれ日本人も当然外国人なのですが、そういった文化の異なる人間を受け入れるのがマレーシアの魅力であり、私が選んだ理由の1つです。
英語圏
2つ目はマレーシアが英語圏であるという点です。公用語はマレー語ですが、もともとイギリスの植民地だった影響もあり、ほとんどの人が英語を話せます。英語力を伸ばしたい、英語環境で仕事がしたいという人にはおすすめです。
マレーシア就職を目指している人へアドバイス
今回は、筆者がマレーシアで働くことを選んだ理由について、書かせていただきました。日本を離れ海外で働くということは、働く以前に海外で暮らすことになります。文化や生活習慣の違いに戸惑うこともあるかと思います。働くうえでも、コミュニケーションや働き方も大きく違います。筆者もいまだに戸惑っています。
それでも今の環境の変化が欲しい、日本を離れスキルを身につけたい。そういった人は、1度転職エージェントに話を聞いてみるのもいいのではないでしょうか?日本でやりたくても見つからなかった仕事が、見つかるかもしれませんよ。