ご存知のように、日本にはチップ文化がありません。一部の外国人旅行客や高級ホテルなどを除いて、日本でチップを払っている人を見たことはありません。
日本とは異なり特に英語圏の海外ではホテルやレストランでチップを支払う必要があります。私たち日本人にとってチップ文化は馴染みがないため、海外を訪れた際には「なんとなくチップを払っている」日本人が多いのが現状です。
チップを払うにはそれなりの理由や背景があります。
海外のチップ文化とは
チップとは
チップとは英語で「Tip」「Service Charge」「Gratuity」などと呼ばれています。チップを支払う必要がある主な場所は「ホテル」「レストラン」「カフェ」などサービス業が中心です。
アメリカやカナダではチップを時給とは別にもらえるため、ウェイターやウェイトレスは普通の最低賃金より低い時給に設定されています。
例えば、私が現在住んでいるカナダのトロントの最低時給は14ドルです。しかし、お酒を扱うレストランやカフェのウェイトレスの時給は12.2ドルです。そのため、チップも給料の一部として考えられています。
同じレストランでも、シェフなど直接お客さんと接しない職種の最低時給は14ドルです。
チップ文化がある主な国
主なチップ文化がある国として、
- アメリカ
- カナダ
- ヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなど)
- エジプト
などが代表的です。
アジアのほとんどの国ではチップを払う文化はありません。日本では、レストランなど食事代の一部の中にサービス料金が含まれています。
チップ文化がない国
同じ英語圏でも「オーストラリア」や「ニュージーランド」にはチップ文化はありません。アメリカなどとは異なり、ウェイターやウェイトレスも他の職業と同じ最低賃金です。
オセアニア地域では、ほとんどのレストランやカフェで、レジの近くにチップ箱が置かれています。箱には「Tip Thank you」などと書かれているところもあります。特にはじめての海外旅行の際、チップを払わないといけないのかな?と思う人が多くいます。
このチップ箱は、「お釣で小銭などの小さい金額があり、かつ良いサービスを受けたときに気持ちとして払う」ものです。
私は、ニュージーランドの日本食レストランで2年以上働いていましたが、チップをもらう機会はあまりありませんでした。常連さんや、日本人、欧米人観光客のお客さんから時々頂く程度でした。
しかし数カ月間日本でいう高級レストランで働いていたときは、毎日のようにチップを払うお客さんが多かったです。そこは、ニュージーランドではめずらしい各テーブルに1人ずつウェイターやウェイトレスが付くような高級レストランでした。
チップの金額は1人20ドル〜30ドルが平均的な金額で、中には50ドル近く払う人もいました。
このように、ごく一部の高級レストランや高級ホテルで、あるいは良いサービスを受けたときに「気持ち」として払うのがオセアニアのチップ文化です。
同じ海外でも、アメリカなどとは異なり特に払わなくても何も言われることはありません。
チップの払い方、払う金額の目安
では、チップを払う国での「払うタイミング」と「平均的なチップの額」を各場所ごとに説明します。
レストラン
レストランでのチップ代は一般的に食事代に+10%〜20%です。多くは会計時にチップを一緒に支払います。
例えばカナダでは、キャッシュレス文化が日本よりも根付いています。半数以上の人がクレジットカードもしくはデビットカードで支払いをします。お金を払うときに、マシーンを渡され、そこでチップの金額を入力してから、暗証番号を押します。
現金で払う場合は、お釣はいらないよ、などという人や、帰り際にテーブルにチップ代を残していく人がほとんどです。
タクシー
降りるタイミングでドアを開けてくれたときや、タクシーの料金を支払った後でチップを払う人が多いです。チップの料金はレストランなどと同じく、タクシー料金に+10%〜20%です。
ホテル
ベットメイキング、ドアマンなど。1ドル〜2ドルくらい、高級ホテルなどではもう少し多く払う人もいます。
チップを払わなくてもよい場所
同じ飲食店でも、チップを払う必要がない場所もあります。
カフェ
スターバックスのようなカジュアルなカフェではチップは不要です。但し同じカフェでも、店員さんが席まで飲み物や食事を運んでくれるようなカフェでは、チップを支払う人が多いです。
ファーストフード
マクドナルドやケンタッキーなどのファーストフード店ではチップを支払う必要はありません。レジ付近にチップ箱も置いていません。
テイクアウト
テイクアウトの場合は、基本的にチップは不要です。
満足なサービスを受けられなかったとき
「食事が運ばれてきたのが遅かった」「周りがうるさくてリラックスできなかった」など不満があった場合はレストランでもチップを払う必要はありません。
多くのお客さんは「ここが嫌だったからチップは払わない」などと支払い時にマネージャーなど上のクラスの人に直接伝えています。この場合は、特にクレームになることはありません。
まとめ
私が初めて訪れた海外、ニュージーランドではチップ文化はなく、3年以上滞在していた中で一度も払った経験はありません。
しかし、現在住んでいるカナダではチップ文化があり、はじめて少し高級なカフェに入ったとき、いくら払えばよいのか分からず、慌ててしまいました。この経験から、改めてチップについて調べました。
チップだけにかかわらず、特に海外での生活は知らないことの連続です。何事も自ら知っておくことの重要性を改めて感じました。